Em、Ema、Emkh形(Ем、Ема、Емх)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 03:44 UTC 版)
「地下鉄Em形電車」の記事における「Em、Ema、Emkh形(Ем、Ема、Емх)」の解説
1961年に開通したレニングラード地下鉄2号線は、フルシチョフ政権下の元でこれまでの豪華絢爛な外見からコスト削減を目的とした質素な構造を用いて設計が行われた結果、費用削減のため線路側のトンネルの断面を小さくした事による安全対策や水分を多量に含んだサンクトペテルブルクの土壌からの浸水防止などの理由から、ホームドアが世界で初めて採用された鉄道路線となった。だが、当時サンクトペテルブルク地下鉄に導入が進んでいたE形電車は乗降扉の位置がホームドアの位置と異なっていたため、2号線を始めとする路線へ投入する事は出来なかった。またホームドアに適した乗降扉の位置を有していた旧型車両のD形(ロシア語版)も、特定の位置へ列車を正確に停車させたりホームドアと乗降扉の開閉を同調させたりするための自動列車運転装置を搭載していなかった。そこで、E形電車を基にホームドアを有する路線に適した車両としてムィティシ機械製造工場で開発・製造されたのがEm形である。 ホームドアと乗降扉の位置を合わせた事で車体長がE形(19,166 mm)から僅かに伸びた19,210 mmとなり、座席数も42個に増加した。主要機器は基本的にE形のものを踏襲していたが、制御器や充電池の変更が行われた他、自動列車運転装置(PMSAUP)(ПМСАУП)の搭載に伴う電気回路の変更が実施されたためE形との混結運転は不可能であった。編成は機器が異なる以下の3種類の形式によって構成されていた。 Ema形(Ема)- 先頭車。PMSAUP用の装置および施設側からの信号を受信する装置を搭載。工場側からは81-705形という形式名も与えられた。 Emkh形(Емх)- 先頭車。PMSAUPのON/OFFを切り替えるスイッチを搭載。工場側からは81-706形という形式名も与えられた。 Em形(Ем)- 中間車。ただし車庫で使用するための運転台が設置されていたため定員数はEma形・Emh形と同様であった。工場側からは81-704形という形式名も与えられた。 1966年12月に試作車が落成し、試験の後翌1967年から1970年まで量産車の製造が実施された。当初はムィティシ機械製造工場で作られていたが、1968年からはサンクトペテルブルクのI.E.エゴロフ工場(ロシア語版)での製造に移行した。ホームドアが存在する2号線や3号線に加え1号線にも導入され、2019年現在は1号線でのみ運行されている。 なお一部車両は後年に建築限界測定車や運転シミュレータ車両などの事業用車に改造された他、Em形3748は1993年にサイリスタチョッパ制御の試験車両に改造され、形式名も81-561形(車両番号11342)に変更されている。 運転台自動列車運転システムに対応した装置が備わっている 車内の様子 車内に設置された路線図
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