DOHCカム切り替えタイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/12 05:52 UTC 版)
「MIVEC」の記事における「DOHCカム切り替えタイプ」の解説
ホンダのVTECと同じく、1本のカムシャフトに低回転用と高回転用の2つのカムを搭載し、ある一定の回転数でこの2つが切り替わり、吸排気バルブのタイミングとリフト量を変化させる。VTECが3つのカムプロフィール(低速:2 高速:1)を持つのに対してMIVECでは低速・高速1つずつの計2つのカムプロフィールとなる。ロッカーアームを介する油圧を用いたカム切替機構はVTECと同様だが、分割された1本のスライドピンにより低速と高速のロッカーアームを一括して結合するVTECに対し、MIVECではバルブを押すT字型レバーに低速と高速のロッカーアームが独立して取り付けられ、それぞれに結合を行う制御ピストンがあるなど切替機構の内容は異なる。 最初に出たMIVECはこのタイプであり、その後にランサーがランサーセディアとして発売されるまで、改良は加えられているものの基本的にこのタイプをベースにして他のMIVECが作られた。 MIVECに限らずVTECも同様だが、2つの異なるタイプのカムを使い分ける方式は、機構的にはそこまで複雑になるわけではないが、2つのカムが切り替わる際にトルクの「谷間」があるのが欠点。 なお、カム切り替え方式のMIVECはシリンダーヘッドが二重構造となっており、通常のシリンダーヘッドでは一体となっているポペットバルブや給排気ポートを含む燃焼室側と、カムシャフトを保持するカムホルダーを2つに分離することが出来るようになっている。通常のシリンダーヘッドでは、カムホルダーのカムキャップとカムシャフト間のジャーナルの隙間(クリアランス)が規定値を超えて磨耗した場合、シリンダーヘッド全体を交換しなければならないが、カム切り替え方式のMIVECでは同様の状況になった場合でもカムホルダーのみの交換で対処することができる。カム切り替え方式のMIVECはカムキャップ側のジャーナルに刻まれたオイル溝を通してカム切り替えの油圧が供給されており、磨耗の進行でジャーナルのクリアランスが広がると、規定の切り替え油圧が掛からなくなり、俗に「半ベック」と呼ばれるカムの切り替えが一部の気筒又は全気筒において正常に行えない不具合が発生する。この症状が発生した場合、エンジンオイルの粘度を固いグレードに変更してみて、なお不具合が解消出来ない場合には、カムホルダーの摩耗、オイルコントロールバルブ(OCV)の不良、ロッカーアームの破損のいずれか、又は全ての不良と判断して交換を行う必要がある。
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