D-SEND#2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 17:57 UTC 版)
「低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト」の記事における「D-SEND#2」の解説
D-SEND#2は三次元揚力体による先端 / 後端の低ソニックブーム設計効果の実証、低ブーム波形取得技術の確立、低ブーム伝播解析技術の検証などを目的としたもので、試験には航空機形状の無人試験機である超音速試験機(英: Silent SuperSonic Concept Model、S3CM)が用いられる。S3CMは無動力の滑空機で、非軸対称低ブーム機首、多目的最適設計による低抵抗 / 低ブーム主翼、逆キャンパ水平尾翼、後胴揚力面などといったJAXA独自の低ソニックブーム設計概念を用いて設計された。また、機内には自律滑空を行うための飛行制御コンピュータや各種センサが搭載されている。機体の製造は富士重工業宇都宮製作所で行われた。 S3CMは2013年5月30日に宇都宮製作所で報道陣に公開され、滑空実験を2回行う旨が発表された。その後、2機のS3CMがエスレンジ実験場に持ち込まれ、同年8月16日に1回目試験が行われた。しかし、気球から分離した62秒後、計測地点の約12 km手前で機体がローリングとヨーイングを起こして姿勢制御不能に陥ったため、機体姿勢が回復した後に手順に乗っ取って投棄コマンドが送信され、S3CMは計測地点の約8 km手前に着地した。計測システムは正常に作動したものの、想定していた飛行状態のデータを取ることができず試験は失敗となった。失敗の原因は、機体の運動性が求められるミッションだったために、飛行制御プログラムが安定余裕が少ない(機体が不安定になりやすい)ものにされていたことと、飛行制御プログラムに組み込まれていた機体の空力特性に実機との差異があったことだった。 検証計画の見直しや飛行制御プログラムの改修などを経て、2回目試験は2014年8月22日に行われる予定だったが、悪天候のために8月26日に試験中止となり2回目試験は行われなかった。これを受けて試験計画の再検討が行われ、2015年6月29日から8月31日の間に3回目試験を行うことが予定された。3回目試験は7月24日に行われ、S3CMは正常に飛行を完了させた。 JAXAは2015年10月27日に、50人規模の小型超音速旅客機(コンコルドの重量の約40%)に適用した場合、ブーム強度0.5 psf以下で、ソニックブームをコンコルドの約1/4まで低減することに成功したとの計測データの詳細解析結果を発表した。
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