64mパラボラアンテナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 10:09 UTC 版)
「臼田宇宙空間観測所」の記事における「64mパラボラアンテナ」の解説
本観測所のメインであるパラボラアンテナの大きさは直径64m。建設当時は東洋一の大きさを誇った。三菱電機製。パラボラの利得(ゲイン)は半径の2乗に比例する。一般的な衛星軌道上通信アンテナである10mの大きさと比較して40倍の利得(ゲイン)がある。 パラボラアンテナの構造は、野辺山宇宙電波観測所にある45m電波望遠鏡開発にて培われた、ホモロガス変形法を用いることによって、高い集光力を有する。ただし、電波測定を主たる任務にする電波望遠鏡とは違いシビアな調整が必要ないため、パラボラ面の裏面にカバーをしたり、温度調整や定常的な鏡面精度の測定は行われていない。 8GHz帯受信用低雑音増幅器(LNA)は超遠距離からの微弱な電波を受信するため、液体ヘリウム冷却で極低温に冷却されていて熱雑音を極限まで低減させている。同LNAは2式あり、雑音温度の実力は数K(NF換算0.1dB以下?)と言われている。日本通信機株式会社製。。 指令電波は7GHz帯(Xバンド)と2GHz帯(Sバンド)で行われる。送信機器においては、 Xバンドは出力20kW の水冷式クライストロン2式(送信) Sバンドでは出力20kW の水冷式クライストロン1式(送信) となっている。(これらの送信機器は日本電気製) なお、実現性を危ぶむ声もあるが、2007年に宇宙航空研究開発機構が、今後の宇宙計画として発表した長期目標における木星探査計画やセレーネ2計画に対し、大幅な能力不足や通信可能時間の不足が指摘されており、南米局の開設と当該施設の更新が望まれている。 2009事業年度中に、一部設備の更新が行われたため、2009年10月より2010年3月まで運用を休止し、その後運用を再開した。上記休止期間中は小惑星探査機「はやぶさ」ミッションの運用は、内之浦の34mアンテナ局を用いて実施した。 技術仕様 有効口径:64m 光学系:カセグレイン式電波光学系[Beam Wave Guideによる導波方式採用] 鏡面精度:実測値5mm/64m、理論値10mm/64m 鏡面材質:アルミパネル+プラスチックコート 架台:経緯儀式 追尾精度:5秒/180度
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