2008年の人工妊娠中絶反対法案に対する対応
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「キャスリーン・セベリウス」の記事における「2008年の人工妊娠中絶反対法案に対する対応」の解説
前述のように、セベリウスは4度にわたって州議会が可決した人工妊娠中絶反対法案に対して、4度とも拒否権を行使している。以下では、その中でも2008年の拒否権発動について詳述する。 2008年4月21日、セベリウスは審議中であった上院提出法案第389号(Senate Bill 389,以下、“SB 389”と略す) を代替する下院代替法案(House Substitute for Senate Bill 389,以下、“HS BS 389”と略す) に対して拒否権を行使した。この法案は、包括的な人工妊娠中絶制度改革法案というタイトルが付けられており、この法案を提出した議員たちは、州議会が後期妊娠中絶法案を強化し、特に未成年に対する妊娠中絶強要を阻止するべきであると主張した。また、カンザス州の地元紙ザ・カンザスシティ・スターは、法案について「下院代替法案は、『カンザス州政府が個々の患者の診断情報を収集し、後期妊娠中絶について詳細な医学的根拠を与えること』、『ある市民の血縁者が、もしカンザス州法に違反した中絶を計画したと思われる時には、その市民に中絶を行った者に対する訴訟提起を認めること』の2点を求めている。」と報じた。 セベリウスは、法案の合憲性、有効性、道徳的観点の3点からこの法案に対して異議を唱えた。彼女は拒否権発動にあたって発表したコメントの中で、「連邦最高裁判決は、『妊娠中絶を規制するいかなる法案も、女性の生命や健康に危険を与える妊娠に関する特例を含めるべきである』と明確に示している。しかしSB 389は、不特定の個人(中絶を受ける女性の血縁者)に対して、女性の生命を守るために必要であるかもしれない妊娠中絶を受けることを妨げてしまう裁判所命令を請求することを認めている。私はこの法案について、違憲であるうえに女性たちの生命を危険に晒すことになる法案である、と懸念している。」と述べており、さらには「(SB 389は)カンザス州の女性たちの医療記録という本来極秘に扱うべきプライバシーを不必要に危険に晒すことになる。」とも述べている。 これに対して、カンザスシティ大司教区のジョゼフ・フレッド・ナウマン大司教は、セベリウスがHS BS 389に拒否権を行使したことを批判したうえで、もう2度と聖体拝領を受けないように求めた。ただ、このナウマン大司教の動きに対してはカトリック系のメディアの間でも賛否両論があった。
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