2 0 0の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 09:55 UTC 版)
EDIF 2 0 0でユーザおよびベンダーが遭遇した問題を理解するためには、最初にエレクトロニクス産業の構成や力関係を全て説明しなければならない。この標準を必要とした人々は、主として設計技術者であり、その所属は小さなガレージ会社から何千人もの仲間を擁するような大企業まで様々であった。彼らは1980年代の終わりまで回路図とそこから生成されるネットリストと苦闘している。 大きな進展は回路図からネットリストを自動的に生成できるようになったことである。最初のサプライヤーは電子系CADベンダーであるデージー社、メンター社、バリッド社であり市場を支配し、またシェア争いで競争もした。 顧客を繋ぎ止めるための戦術の1つは、そのデータベースであり、それぞれ独自のフォーマットと特徴を持っていた。顧客がどのベンダーのソフトウェアを使うか一旦決め設計を入力し始めると、その後もずっとそのソフトウェアを使用することになった。ベンダーAからベンダーB のシステムに移ることは、それまで蓄積した設計データを再度入力しなければならず非常にコストがかかることを意味した。結果、設計技術者の特定のベンダーのシステムに固定してしまうことにもなった。 しかし顧客は別の要望も持っていた。たとえばベンダーAは優れたアナログ・シミュレーション環境を持っていて、一方ベンダーBは良いPCBやシリコン・レイアウト自動配線ソフトを持っていることもある。つまりベンダーが異なっていても優れたソフトを自由に選び使えたらという要望である。 EDIFは、電子設計会社やそこで働く技術者などエンドユーザに支援された。EDAベンダーも深く関わり合ってはいたが、彼らのモチベーションはそれらの顧客を逃したくないという消極的なものにすぎなかった。ほとんどのEDAベンダーはEDIF 2 0 0ライター(出力)ソフトを一応開発しはした。しかし彼らはより興味を持っていたのは高品質なEDIFリーダー(読み込み)の方である。他のベンダーから顧客を奪い取るために必要なのはリーダーの方であってライターではないからである。 その結果、やや奇妙なことが起こった。どのEDAベンダーのソフトも文法や意味論的に問題のあるようなライターソフトを作らなかった。意味論的なルールが緩く、同じこと意味するデータを表現するのにいくつもの方法が許された。これはいわばEDIFの「風味」として知られるようになった。 EDIF関連製品を開発したプログラマは有能で勤勉な人々ではあったが、ベンダーの方は熱心ではなかったということである。
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