1500年代の絵画作品
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「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の記事における「1500年代の絵画作品」の解説
レオナルドが16世紀に描いた小規模な肖像画で、ルーヴル美術館が所蔵する『モナ・リザ』は、世界で最も有名な絵画作品といわれている。描かれている女性が浮かべているとらえ所のない微笑が高く評価されている作品で、口元と目に表現された微妙な陰影がこの女性の謎めいた雰囲気をもたらしている。この微妙な陰影技法は「スフマート」あるいは「レオナルドの煙」と呼ばれている。ヴァザーリはこの『モナ・リザ』を直接目にしたことはなく、噂でしか知らなかったといわれているが、「その微笑は魅力的で、人間ではなく神が浮かべているようにみえる。この絵画を目にしたものは、まるでモデルが生きているかのように描かれていることに驚くことだろう」としている。 その他『モナ・リザ』の特徴として、飾り気のない衣装、うねって流れるような背後の風景、抑制された色調、極めて高度な写実技法などが挙げられる。これらの特徴は顔料に油絵の具を使用することによってもたらされたものだが、絵画技法はテンペラと同様な手法が用いられており、画肌表面で顔料を混ぜ合わせた筆あとはほとんど見られない。ヴァザーリはレオナルドを「他者を絶望、落胆させるような、自信に満ちた芸術家」として、その絵画技術を絶賛している。ルネサンス期に制作された板絵としては、『モナ・リザ』の保存状態は完璧に近く、修復加筆の痕跡もほとんど見られない。 自然の風景の中に人物像を描くという『聖アンナと聖母子』の構成は、ジャック・ワッサーマンが「息をのむような美しさ」としており、『荒野の聖ヒエロニムス』の傾いた人物像を髣髴とさせる。『聖アンナと聖母子』が群を抜いている点は、二人の人物が斜めに重ねあわされている構図にある。母アンナの膝に座る聖母マリアが、自身が将来遭遇する受難の象徴である子羊を手荒に扱うキリストをたしなめようと、身体を傾けて腕を伸ばしている。『聖アンナと聖母子』も多くの模写が制作された絵画で、ミケランジェロ、ラファエロ、アンドレア・デル・サルトらにも影響を与え、さらにはその弟子であるヤコポ・ダ・ポントルモ、コレッジョらにも影響を与えた。また、『聖アンナと聖母子』の画面構成はヴェネツィアの画家ティントレットやパオロ・ヴェロネーゼらが好んで採用した。
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