1・2号機 操業差止訴訟・再稼働差止仮処分
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「川内原子力発電所」の記事における「1・2号機 操業差止訴訟・再稼働差止仮処分」の解説
2012年5月30日、鹿児島地裁にて、南九州3県(鹿児島県・宮崎県・熊本県)の住民ら1114人によって九州電力と国に対し川内原発の運転停止を求める訴訟(操業差止訴訟)が起こされた。原告側は、福島第一原子力発電所事故によって原発そのものが危険であることが明確になったこと、川内原発近くの海底に活断層があり地震が事故の誘因となる危険があることなどから、定期点検後の運転再開を延期している川内原発1・2号機を今後も操業しないように訴えた。2012年10月16日の第1回口頭弁論で九州電力側は、川内原発は地震や津波に対する十分な対策を講じて安全性を確保しており福島第一原発事故のような事態に至る危険性はない旨を主張した。2016年4月現在係争中である。 2014年5月30日には、鹿児島地裁にて九州電力に対し川内原発の運転差し止めを求める仮処分(再稼働差止仮処分)の申し立てが鹿児島県・熊本県の住民ら23人によってなされた。原告側は、川内原発の耐震安全性が不十分であり大地震によって放射能漏れを伴う過酷事故に至りかねないと訴えた。また、川内原発は再稼働のための審査が進められており、再稼働となれば周辺住民の安全が脅かされかねないとして仮処分申し立てに踏み切ったとした。また原告側は、近隣の火山で大規模な噴火が起きた場合も川内原発で過酷事故を引き起きかねないと主張した。これに対し九州電力側は、川内原発ではより強い地震にも対応する安全対策を施したことや、原発が運用されている間に巨大噴火が起こる可能性が低いことなどを主張した。2015年4月22日に鹿児島地裁は、原子力規制委員会による新規制基準の内容や、川内原発が新基準に適合したとする判断に不合理はないとして、この申し立てを却下した。原告の住民ら12人は福岡高裁宮崎支部に即時抗告を行ったが、2016年4月6日、高裁もこの申し立てを却下した。川内原発の安全性において問題となる火山噴火のリスクについて、福岡高裁宮崎支部・西川知一郎裁判長は、原子力規制委員会が審査において原発に影響を与える規模の大噴火を事前に予測できることが前提となっているのが不合理だと指摘したものの、こうした規模の噴火は頻度が低く、社会通念上そのリスクまで考慮することは求められていないという趣旨の意見を述べた。また、地震のリスクに関する安全性についても原子力規制委員会の審査に問題ないとの判断を示した。原告の住民側は最高裁判所への特別抗告を見合わせ、係争中の2012年からの差止訴訟にて継続して主張していく旨を表明した。
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