鬱三部作
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「ラース・フォン・トリアー」の記事における「鬱三部作」の解説
2009年に「悲しみに暮れるカップルが森の中の小屋に引きこもり傷心と結婚生活のトラブルを修復しようとするが、自然が牙を向き事態は悪化していく」というコンセプトのホラー映画『アンチクライスト』を発表。同作はウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールを起用し、露骨な性描写を含むことで世界初の公開場所となった第62回カンヌ国際映画祭で物議を醸した。同映画祭ではゲンズブールが女優賞を受賞し、精神的・人道的・普遍的価値をもった映画に賞を出すキリスト教系の審査団からは本作が女性蔑視とされたことに対して「反賞」が特別に贈られた。 同年10月、心理的破局ドラマの要素を持ったSF映画『メランコリア』のプロジェクトをアナウンスした。アイディアはうつ病に苦しんでいた頃のトリアーが出席したセラピーセッションから来ており、セラピストはうつ病の人々は先に悪いことが起こると予想し、強いプレッシャーの下では他の者よりも冷静に行動する傾向があることをトリアーに伝えていた。主演にはキルスティン・ダンストが起用され、前作に引き続きシャルロット・ゲンズブールが出演した。その他にもキーファー・サザーランド、 シャーロット・ランプリング、 アレクサンダー・スカルスガルド、 ステラン・スカルスガルド、 ウド・キアらが起用された。撮影が約5百万ユーロの予算で2010年7月から9月まで行われた。同作は2011年の第64回カンヌ国際映画祭に出品されたが、現地での記者会見の中でアドルフ・ヒトラーに理解を示す発言を行ったことがペルソナ・ノン・グラータにあたるとして理事会より事実上の映画祭追放処分を受けた。同映画祭ではダンストが女優賞を受賞した。 2011年9月には色情狂を意味する『ニンフォマニアック』というタイトルの、ある女性のセクシュアリティの歴史を追求したハードコアポルノのプロジェクトをアナウンスした。トリアーの前2作に出演したシャルロット・ゲンズブールが主演を務め、彼女が演じる主人公ジョーの若い頃は新人のステイシー・マーティンが演じた。その他にもトリアーの作品に度々出演しているステラン・スカルスガルドやウィレム・デフォー、『ドッグヴィル』に主演したニコール・キッドマンが起用された。また、ゲンズブールの相手役として出演したシャイア・ラブーフは自身が演じた性描写は演技ではなく「本番」であることを明らかにした。同作はソフトコア版とハードコア版の2つのバージョンが製作され、後者ではポルノ俳優が一般俳優の性描写の代役を務めた。撮影は2012年夏に行われ、プロデューサーのピーター・アールベック・ジェンセンは2013年のカンヌ国際映画祭の出品を狙っていると発言した。最終的に同作は計4時間の全2部作として製作された。2013年12月にデンマーク国内で一般公開され、翌2014年にはVol.1が第64回ベルリン国際映画祭、Vol.2が第71回ヴェネツィア国際映画祭でそれぞれ上映された。 トリアーは2007年の後半から2009年の初めまでの長期間に渡ってうつ病を患っており、『アンチクライスト』、『メランコリア』、『ニンフォマニアック』は「欝三部作」と呼ばれている。
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