高等法廷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 03:59 UTC 版)
「最高裁判所 (シンガポール)」の記事における「高等法廷」の解説
高等法廷は、刑事事件及び民事事件の第一審の管轄権を有しており、初めて裁判所に提起された事件の審理を取り扱うことができる。高等法廷の第一審管轄権の特殊性は、違憲審査の管轄権である。高等法廷は、2種類の違憲審査を行う。すなわち、憲法に基づく違憲審査と、行政行為の違憲審査である。 多少の例外はあるが、高等法廷は、シンガポール国内外において、被告に召喚状が送達されるか、その他の開始手続が執行される場所、または、被告が裁判所の管轄を受諾した場所における、あらゆる対人訴訟(特定の人物に対して直接行う訴訟)を審理する管轄を有している。理論上、高等法廷は、無制限の第一審管轄権を有しており、些細な事件か重大な事件かを問わずあらゆる類型の事件を審理することができる。しかし、実際には、より適切な下級裁判所があるにもかかわらず高等法廷に民事事件を提訴することを選ぶと、高い訴訟費用を支払わなければならないので、当事者が不利になる。通常、プロベート事件を除き、訴額が250,000S$を超える民事事件は、必ず高等法廷から開始する。プロベート事件は、遺産額が3,000,000S$を超える場合か、外国の検認証書や遺産管理状の再封印を含む事件に限り、高等法廷で開始する。 海事事件、破産手続、会社清算手続については、高等法廷が専属的管轄権を有している。高等法廷は、離婚及び婚姻に関する事件についても管轄権を有しており、未成年者や精神障害者について後見人を選任及び監督し、彼らの身体と財産に関して命令する。しかし、婚姻や後見手続は、現在も高等法廷で審理されている1,500,000S$以上の夫婦の財産分割に関する争いを除き、地方裁判所に移管された。2010年3月1日以後、高等法廷で開始した意思能力法に基づく手続きは、下級裁判所でも取り扱う。 高等法廷は、シンガポールで行われた全ての犯罪と、特定条件下でシンガポール国外で行われた犯罪について審理する管轄権を有する。刑事事件では、高等法廷は、一般的に、死刑又は10年以上の拘禁刑に処される犯罪に関する事件を審理する。また、民事事件及び刑事事件における地方裁判所や治安判事裁判所の判決に対する上訴を審理し、地方裁判所や治安判事裁判所から受理した特定の事件における法律問題について判断する。さらに、高等法廷は、民事事件及び刑事事件において、全ての下級裁判所に対して、一般的な監督及び再審査の管轄権を有している。
※この「高等法廷」の解説は、「最高裁判所 (シンガポール)」の解説の一部です。
「高等法廷」を含む「最高裁判所 (シンガポール)」の記事については、「最高裁判所 (シンガポール)」の概要を参照ください。
- 高等法廷のページへのリンク