頭部CTスキャン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:52 UTC 版)
頭部のCTにおいてクモ膜下腔に高吸収領域が見られる。特に内因性のものである場合はペンタゴン・レベルで中心付近に高吸収領域が見られるが、外傷性のものでも見られることがある。また、頭痛が軽いなどのためにCTを行わず、初診時に風邪、高血圧、片頭痛として見逃される例が日本国内で5-8%程度あるとの調査もなされている(海外では12%などの結果が出ている)。 最も有名なクモ膜下出血のCT所見にペンタゴンといわれる鞍上槽への出血が知られているが、これは頭蓋内内頸動脈動脈瘤破裂の場合によく認められるもので、それ以外の動脈瘤破裂によるクモ膜下出血ではこのような画像にはならない。また破裂動脈瘤の30%ほどに脳内出血を合併するといわれている。脳動脈瘤の好発部位としては前交通動脈 (Acom) 、中大脳動脈の最初の分枝部、内頸動脈-後交通動脈 (IC-PC) とされている。前交通動脈瘤では前頭葉下内側および透明中隔に、IC-PCでは側頭葉に、中大脳動脈瘤では外包および側頭葉、前大脳動脈遠位部動脈瘤では脳梁から帯状回に脳内血腫を形成する。高血圧性の脳内出血と明らかに分布が異なるほか、原則として近傍にクモ膜下出血を伴っている。亜急性細菌性心内膜炎や絨毛がんなどでは動脈瘤を合併し、クモ膜下出血、脳内出血を合併することが知られている。以下に出血部位から責任動脈瘤を推定する方法をまとめる。 破裂部位出血の広がり前交通動脈 大脳縦裂前部、交叉槽、脚間槽などからシルビウス裂まで左右対称的に存在、透明中隔腔内の血腫が特徴的である。 中大脳動脈 同側のシルビウス裂を中心に存在する 頭蓋内内頸動脈領域 鞍上部脳槽を中心に非対称的に両側性に存在する。所謂、ペンタゴンである。 椎骨脳底動脈領域 迂回槽、脚間槽、橋槽を中心に左右対称性に存在する。 シルビウス裂における中大脳動脈瘤の破裂においては、血腫が脳実質内まで達し、脳内出血と診断されることもあるが、この場合の臨床経過や治療は確かに脳内出血と重なる要素もあり、一概に誤診とは言い切れない。
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