霜の影響と対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/21 15:47 UTC 版)
窓に付着した霜は窓霜と呼ばれ、窓を不透明にしてしまう。自動車であれば外が見えなくなるので、取り除く必要がある。 植物に付着すると、霜が植物を直接冷やしてしまい、活動が低下するほか、中の水分が凍って養分などが滞り、枯れてしまうことがある。 霜が毎年降りる地域では、霜が降りる時期に合わせて、農作物やその他の植物に霜対策を施す。しかし、春の、普段は霜が降りない時期に晩霜(おそじも)が、秋の普段霜が降りない時期に早霜(はやじも)が降りると、農作物に大きな被害を与えることも多い。霜による害を霜害、農作物や植物が直接凍ることによる害と合わせて凍霜害という。春と秋の霜が降りるほど気温が下がると予想されるとき、日本では霜に関する注意喚起として気象庁及び各気象台から霜注意報が発表される。この霜注意報は晩霜や早霜の時期に発表されるもので、霜が毎朝降りるような冬の時期には発表されない。 なお、八十八夜(現在の暦では5月2日頃)の時期の言葉として「八十八夜の別れ霜」(忘れ霜、泣き霜)というものがあり、「この時期まで霜が降りることがあるので農作業には注意せよ」、ということを意味している。 また、二十四節気において10月23日頃を霜降(そうこう)といい、「霜が降り始める頃」というのがその由来となっている。 霜の害を防ぐには、地面に水を撒いて湿度を上げ、放射冷却を弱める方法や、同じく水を撒きっぱなしにしてあえて凍らせ続けることで作物の温度を零度以上に保つ方法(散水氷結法)、送風機で風を送り、地表の冷気と高いところにある温度の高い空気を混ぜ、気温の低下を防ぐ(防霜ファン) といった方法がある。後者二つは茶畑などでよく用いられている。温暖地の果樹(特に梨)栽培では練炭や薪のコンロを果樹園のあちこちに設置して、晩霜を防ぐ対策がとられる場合もある。畑の場合は細く裁断した藁を撒いたり、防霜シートで覆うと良い。 霜は気温が0℃以上でも生じる。これは、霜の発生を決める地表付近の温度と気温は異なり、地表付近の温度のほうが低くなるためである。そのため、植物の生育環境を示す指標としては、「気温0℃」よりも「霜の有無」のほうが実態に近く、熱帯系の植物の生育可能な範囲は往々にして霜が降りるかどうかで決定される。日本では、紀伊半島南岸以南の多くの地域は年間を通じて霜が降りない。この線を北限とする生物がかなりあることが知られている。
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