電車分野での衰退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/04 07:29 UTC 版)
「吊り掛け駆動方式」の記事における「電車分野での衰退」の解説
1930年代以降、高速化に有利なばね下重量の軽減に早くから積極的であった欧米の電気車ではカルダン駆動方式が実用化され、1950年代以降は日本の電車にも導入されるようになった。 特に、輸送力増強を迫られた大手私鉄がその対策として即効性のある「電車の性能向上」に取り組んだことが日本でのカルダン駆動方式の普及につながっている。1951年頃からカルダン駆動方式の試験が開始され、1953年にまず京阪電気鉄道、東武鉄道、大阪市交通局(大阪市電)、東京都交通局(都電)、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)がカルダン駆動方式の新車を製造、続いてその他の大手私鉄各社や公営鉄道でも順次カルダン駆動を採用していった。また国鉄も長距離優等列車に電車を利用する見地から1958年以降は高速走行性能や乗り心地、騒音を改善できるカルダン駆動方式の新性能電車にシフトした。 1960年代後半以降、吊り掛け駆動の電車は一部の特殊例を除いて新規製造されなくなる。その後も一部私鉄が構造の簡便さや特殊な規格に起因する架装スペースの都合から採用を続けた例はあるが、これらも1980年代にはカルダン駆動に移行し現在では吊り掛け式を新規採用する鉄道会社は皆無となった。 懸架方式を問わず、1067mm普通鉄道最後の吊り掛け方式の完全新造電車は1983年製造の江ノ電1200形である。 762mm軌間の普通鉄道最後の完全新造の吊り掛け電車は1990年製造の三岐鉄道北勢線277形(近鉄時代の製造)である。筑豊電気鉄道3000形電車は近年川崎重工製の台車に交換されているが、駆動装置は吊り掛け駆動のままである。そのため台車新造としては最後の旅客用電車である。 2015年4月1日に近鉄の内部・八王子線を承継して開業した四日市あすなろう鉄道は、全車両が吊り掛け駆動方式である。 2014年現在、JRにおける吊り掛け式電車は、車籍上は数両が残存しているが、事業用車等を含めて全て運用を終了している。大手私鉄においても名鉄瀬戸線で使用されていた車体更新車(6750系)が2011年4月に全廃となった。
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