電池の内部抵抗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 19:50 UTC 版)
電池の本来の起電力を E {\displaystyle E} (V)、実際に出力される端子電圧を V {\displaystyle V} (V)と置いて考える。 電流を流していない場合、 V = E {\displaystyle V=E} である。しかし、電気回路に接続し電流 I {\displaystyle I} (A) が流れると端子電圧が下がり、 V < E {\displaystyle V<E} となってしまう。この現象は電池内部に電気抵抗 r {\displaystyle r} (Ω) が存在すると仮定すれば説明出来る。この抵抗 r {\displaystyle r} を電流 I {\displaystyle I} が貫通する事によって、オームの法則に比例した r × I {\displaystyle r\times I} の電圧降下が起きるのである。実際の出力は V = E − ( r × I ) {\displaystyle V=E-(r\times I)} となる。 「電池」の内部抵抗は、構成素材の抵抗成分(オーミック抵抗)と、化学反応の速度限界による抵抗成分(反応抵抗)が存在する。このような性質は計算上、抵抗成分と捉える事が出来る。電池が消耗してくると「起電力は変わらないが、内部抵抗が増加していき出力電圧が下がる」と考える事ができる。 電池の内部抵抗(あるいは出力インピーダンス)は、負荷と直列に接続された抵抗と考える事が出来る。この内部抵抗によって起こる電圧降下が内部電圧降下(ないぶ でんあつこうか) r × I {\displaystyle r\times I} (V) である。内部電圧降下の大きさは、電気回路に流れる電流の大きさに比例する。 電池の内部抵抗は、その種類によっておおきく異なる。ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素充電池、リチウムイオン充電池などは、アルカリ電池などと比較して内部抵抗の小さい電池として知られており、大電流でも出力電圧が落ちにくく、高出力を必要とする電気工作機械の電源などに良く用いられている。燃料電池や太陽電池(厳密には電池ではなく半導体光電変換装置)は内部抵抗が大きい。 電池の内部抵抗は一般に大きなサイズのものほど小さいと考えてよい。たとえばアルカリマンガン電池は比較的内部抵抗の大きな電池として知られているが、その中でも単1型のものと単5型のものを比べると、単5型のもののほうが内部抵抗が大きい。 二次電池は充放電を繰り返すたびに化学反応が阻害され、内部抵抗が高くなっていく。
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