銀河形成から現在へ
原子核結合から30万年で「宇宙の晴れ上がり」
ビッグバンの膨張(ぼうちょう)につれて、宇宙は1,000億℃(絶対温度)という超高温の状態から、どんどん冷えていきました。原子核の結合から30万年がたつと、宇宙の温度は4,000℃~3,000℃になります。ヘリウムや水素の原子核が電子をとらえ、安定した原子をつくれるところまできたのです。これにともない、光子(輻射)は電子との作用がなくなって光として直進できるようになり、宇宙が透明になります。これを「宇宙の晴れ上がり」といっています。
ヘリウムや水素ガスのかたまりから銀河は形成された
「宇宙の晴れ上がり」によって、ヘリウムや水素という物質ができ、それがガスとなって巨大なかたまりを形成しはじめます。原始銀河の誕生です。原始銀河は、やがて1,000億個以上といわれる現在のようなさまざまな銀河に発達していきます。実際には、現在見られる銀河が宇宙の中でどのように形成されてきたのかについては、はっきりわかっていませんが、銀河の誕生のころはまだ宇宙が小さく、つまり密度(みつど)がじゅうぶんに高かったため、物質がかたまりになることができたのだろうと考えられています。
現在は「宇宙の晴れ上がり」から150億年後
私たちが天体を観測する場合、光をたよりにします。そこから、いま10億光年の距離にある天体の輝きは、10億年前に発せられた光であるということがいえます。そして、現在観測できるもっとも遠い天体、すなわちもっとも古い天体は、「クェーサー」と呼ばれ、およそ150億光年のかなたから地球に光を届けています。ということは、光が宇宙を進めるようになった「宇宙の晴れ上がり」のときから、少なくとも150億年の時間が流れていることがわかり、それが宇宙の年齢(ねんれい)の目安となっています。今のところ、天体観測と理論からみちびかれた宇宙の年齢は、150億年から200億年とされています。
宇宙の将来・過去は、いまだ解明されず
宇宙は、現在も光の速さで膨張(ぼうちょう)を続けています。このまま永遠に膨張を続けるのか、あるいは、いつか膨張をやめるのか?宇宙が膨張を止めるということは、その時点から収縮(しゅうしゅく)に転じ、最後にはふたたび「ビッグバン」の一点にもどることを意味します。そのいずれかになるかは、宇宙を満たしている物質の総量が、ある量より多いか少ないかにかかっているとされ、現時点ではまだ答えが出ていません。また、グレートウォールの発見など最新の観測結果により宇宙天体に分布のムラがあることがわかってきたため、宇宙が「一様的・等方的」であることを前提にするビッグバン理論も立て直しをせまられています。これまで多くの研究者によってさまざまなことがわかってきた宇宙ですが、その真の姿を明らかにするには、より精密な観測や理論の研究が必要です。宇宙の将来、そして過去の解明は、21世紀の世代に期待されています。
- 銀河形成から現在へのページへのリンク