金剛代艦とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 金剛代艦の意味・解説 

金剛代艦

(金剛代艦型戦艦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 08:12 UTC 版)

金剛代艦(こんごうだいかん)とは、ワシントン海軍軍縮条約の規定による戦艦建造禁止期間(海軍休日)の終了とほぼ同時に[1]、艦齢20年を迎える戦艦巡洋戦艦)「金剛」を1934年(昭和9年)をもって置き換えることを目標として[2]、建造を予定していた戦艦[3](または高速戦艦[注釈 1])である。


注釈

  1. ^ a b c (二十日東京發)[4] 既報の如く主力艦代艦建造問題は財源捻出につき議會で問題となつてゐるが 華府會議 の結果保有されてあるわが主力艦十數隻の中巡洋戰艦金剛(二六,二三〇噸)は昭和八年で艦齢二十年に達するので、六年度にはその代艦が起工される筈で、艦政本部ではすでに設計に着手してゐるが、恐らく列強海軍を驚倒させるやうな大威力艦が建造されるであらうと期待されてゐる、ワシントン會議によつて保有したわが主力艦の 總排水量 は三十一萬五千噸で、これを一艦三萬五千噸級のものばかりにすると、現有勢力十數隻は九隻になるが、この間の按排は適當に考慮することとなり、金剛の代艦は大體において大正九年十二月呉工廠で常備排水量四萬一千噸の巡洋戰艦として建造した赤城(その後華府條約により航空母艦に改造)を標準とし、排水量を減ずるためには艦材には磯波その他一千七百噸級の驅逐艦に使用して良成績を納めてゐるジュラルミン輕金属を使用し、基準排水量三萬五千噸以内で航空兵器や落角彈に對する 新考案を 加へ、主砲十六吋砲十門(二聯装砲塔)を搭載し、大口徑魚雷發射管八門を装備し、二十七節以上の快速力を有するもので、英國が列強海軍に誇る戰艦ロドネー基準排水量三萬一千噸)を遙かに凌駕する世界第一の最新最鋭のものであるといはれてゐる、この最初の代艦は横須賀または呉で建造される筈である(記事おわり)
  2. ^ 天城級[10] 軍艦加賀及び土佐の設計完成後、新巡洋戰艦の設計が開始され、翌年完成するに至つた。是等の巡洋戰艦が天城赤城、高雄、愛宕と名づけられ、八八艦隊計畫中の四巡洋戰艦であつた。(中略)以上の外既に戰艦紀伊及び尾張の設計が華府會議前に完了して居つたので、その排水量は四二,六〇〇噸に達し、八八艦隊計畫の第九第十番艦であつた。尚ほ此の上に八八艦隊計畫の主力艦六隻が殘つてゐたが、當時は唯考究せられただけであつた。若し華府會議が決裂して、此等の六隻が實現したならば、其の排水量はより以上に増大し、之に伴ふ建造費の增加は推測に難くない。華府會議後我が海軍は主力艦の建造に關しては、事實上全く中絶の有様で、唯一一九三一年の終りに於て起工さるべき三五,〇〇〇噸の主力艦に對する準備的研究を續行してゐるに過ぎぬのである
  3. ^ (本社東京特電 七月廿五日午前九時)[12] 海軍省では本月初旬開催した豫算省議に於て大正十六年度の新規要求總額三億二千餘萬圓を可決したのであつたが今回主力艦代艦を戰闘艦級としその速力は巡洋戰艦の制度を保存し補助艦艇建造費初年度割二千萬圓、新艦船維持費千四百萬圓以外の新規要求額を大削減することに決定した(記事おわり)
  4. ^ ドイツはヴエルサイユ條約に依つてその保有し得べき最大艦は排水量一萬噸搭載大砲口徑十一吋に制限されたがドイツはこの制限内に於て最大の威力を發揮すべき装甲艦二隻を昨年來建造中である[19] 右一萬噸装甲艦は 秘密に されてゐるが十一吋主砲六門、六吋副砲八門を搭載し速力二十六節五百馬力のデーゼルエンヂンを使用し航續距離一萬海里に及ぶもので實に製艦技術上の最高點に達してゐる、ワシントン條約に依つて主要海軍國で建造中の八吋砲一萬噸巡洋艦は二隻を以てしてもこのドイツの新装甲艦一隻に 比敵し 得ない程の破壊力を有するものである然も高速力であるから主要海軍國の三萬五千噸の主力艦に遭遇しても平気であるといふ代物であるので世界海軍國の脅威の的となつてゐる(記事おわり)
  5. ^ #日本の戦艦パーフェクトガイド(2004)p.134では12.7cm連装高角砲とする。
  6. ^ この説の文献上の初出は遠藤昭『戦艦 大和』(『第二次世界大戦ブックス』86・サンケイ出版1981年6月)であると思われるが、同書では傍証による根拠も示さず先行研究にもふれることなくこの説が述べられている。以下に同書から抜粋する。「(引用者注:引用部直前は藤本案のラフスケッチの遠藤氏による説明でスケッチ以外の資料への言及はなし)そこで、発表されたラフスケッチを利用して、ヴァイタル・パートの副砲の部分に主砲塔を一基、艦尾に追加してみると、どうなるだろうか。(中略)「天城」型巡洋戦艦が、一三万二〇〇〇馬力で三〇ノットの予定であったことを考えると、無条約時代とともに、「金剛代艦」が、高速戦艦に変身したことは、まず間違いのないところだろう。」(64頁)
  7. ^ 藤岡は航空主兵論山本五十六少将から要望をうけ、空母の護衛艦としても活躍できる設計とした。艦型は、ネルソン級戦艦のような主砲塔前方集約型。

出典

  1. ^ a b 軍縮問題倫敦会議となるまで 1929, pp. 10–12(原本11-14頁)五 華府會議
  2. ^ a b 海軍省、参考用図表 1928, pp. 25–26, 63–64.
  3. ^ a b c d e 小高デザイン対決 2014, p. 88.
  4. ^ 世界に比類なき金剛代艦の威力世界第一の最新最鋭を誇る 艦政本部設計に着手”. Nan’yō Nichinichi Shinbun. pp. 03 (1929年3月2日). 2023年9月24日閲覧。
  5. ^ ◎新艦建造順序 英獨海戰に鑑む”. Nippu Jiji. pp. 03 (1916年10月18日). 2023年9月24日閲覧。
  6. ^ ●海軍の八六艦隊 △國防と來議會”. Nichibei Shinbun. pp. 04 (1918年1月4日). 2023年9月24日閲覧。
  7. ^ 巡洋戰艦新造 金剛比叡の代艦 噸數は四萬内外”. Nichibei Shinbun. pp. 05 (1919年5月16日). 2023年9月24日閲覧。
  8. ^ ●八八艦隊充實期 =或は英國に注文を發せん=”. Burajiru Jihō. pp. 03 (1919年7月11日). 2023年9月24日閲覧。
  9. ^ ワシントン条約本文 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ a b 海軍及海事要覧、昭和6年版 1931, p. 127(原本94-95頁)
  11. ^ 海軍軍備制限條約 外務省公表”. Shin Shina. pp. 03 (1922年2月26日). 2023年9月24日閲覧。
  12. ^ 主力艦代艦を戰闘艦級に定む 補助艦建造新艦船維持費以外の新規要求額大削減”. Nichibei Shinbun. pp. 01 (1926年7月26日). 2023年9月24日閲覧。
  13. ^ a b c 小高デザイン対決 2014, p. 89.
  14. ^ 次の議會に提出の代艦補充の大計畫 主力艦九隻補助艦九十余 八年間に十五億を要す”. Shin Sekai. pp. 02 (1929年2月24日). 2023年9月24日閲覧。
  15. ^ ロンドン条約本文 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  16. ^ 主力艦比叡を筆頭に廢棄される軍艦”. Nichibei Shinbun. pp. 02 (1930年5月5日). 2023年9月24日閲覧。
  17. ^ a b c 金剛代艦海軍艦政本部案(22320401), p. 2(画像2)側面・上部平面
  18. ^ 藤本喜久雄『軍艦設計に對する歐洲大戦の教訓』造船協会、1922年6月。NDLJP:10782755 
  19. ^ 獨逸新造の装甲艦 世界脅威の的となる”. Burajiru Jihō. pp. 01 (1929年2月7日). 2023年9月24日閲覧。
  20. ^ ▲世界最大の驅逐艦”. Burajiru Jihō. pp. 08 (1929年2月7日). 2023年9月24日閲覧。
  21. ^ a b c d e f #日本の戦艦パーフェクトガイド(2004)p.134
  22. ^ a b #日本の戦艦パーフェクトガイド(2004)p.133
  23. ^ 小高デザイン対決 2014, p. 91.
  24. ^ X model Photo(20470501), p. 3(画像3).
  25. ^ Design"X"(20470301), p. 2(画像2)側面・上部平面
  26. ^ 金剛代艦計画 土本技師取まとめ, p. 7(画像7).
  27. ^ 金剛代艦計画 土本技師取まとめ, p. 16(画像16).
  28. ^ a b c d e f Design"X"(20470301)画像2、側面・上部平面
  29. ^ 新戦艦高千穂 - 国立国会図書館デジタルコレクション


「金剛代艦」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  金剛代艦のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「金剛代艦」の関連用語

金剛代艦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



金剛代艦のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの金剛代艦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS