遺物・史跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:02 UTC 版)
新潟県三島郡の西生寺の宝物館には、寺宝として伝わる雷獣のミイラがあり、一般公開されている。その由来や伝承は不明だが、体長35センチメートルほどのネコのような姿で、大きく牙をむきだして威嚇するような姿勢をとっている。妖怪研究家・多田克己はこのミイラを見て「ネコそのものだった」と語っている。日本には人魚や鬼のものとされるミイラが多数あるが、雷獣のミイラの例は珍しい。静岡県でも、ある旧家の蔵から「雷獣」と墨書された和紙に包まれたミイラが発見されており、やはり由来は判明していない。 岩手県花巻市の雄山寺にも「雷神」と札の掲げられた獣のミイラがあり、雷獣と見なされている。一見するとネコに似ているが、ネコに比べると四肢が異常に長く、頭部に眼窩がないことから明らかに普通の生物とは異なるものといわれる。 滋賀県東近江市今代町の富士神社は、雷獣を祀るという全国でも珍しい神社であり、これには次のような謂れがある。かつてこの村は落雷が多かったが、通りがかりの山伏が、落雷が多いのは村に雷獣が住み着いているためと言い、雷獣を捕らえるために地元民に大きな網を作らせ、里外れの森に仕掛けた。すると黒雲が生じて雷が鳴り始め、どこからか赤黒い獣が網の上に現れたので、すかさず捕らえると、それはくちばしと鋭い爪を持つイヌのような獣だった。山伏は鉄杖で獣を叩き殺し、自分の役目は終わったと言って村を去った。以来、村に雷はなくなり、雷獣を捕らえた森には祠が設けられた。この祠は雷獣を封じた意味で封込(ふうじこめ)神社と呼ばれ、後に字が富士(ふじ)に改められたのだという。
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