運転整理の業務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 16:01 UTC 版)
運転整理の実際の業務は、路線の特性を熟知した指令員が行っているが、それでもなお大変困難な業務となっている。これには以下のような理由が挙げられる。 情報収集が困難 平常時とは異なる状況下で現場は大変混乱しているため、なかなか指令員が必要とする情報が現場から上がってこない。 評価・判断が困難 後述するように、どのような運転整理がよいか評価・判断することが難しい。 問題が複雑 前述したように取りうる運転整理手段は何通りもあり、それを多数組み合わせて運転整理を実施していくため、可能な組み合わせは膨大な数になる。その中から適切な方法を選択するのは大変な作業である。 リアルタイム性 運転整理に取り組んでいる間も列車は実際に走り続けており、手配が遅れると時機を逸してしまう。極めて複雑な問題に対処しなければならないにも関わらず、短時間で処理しなければならない。 状況が随時変化して予測困難 天候が理由で運転を見合わせている場合、いつ運転を再開できるかの見極めは困難である。大雪になった場合などは、運転不能区間が次々に拡大していくこともあり、そのたびに運転整理計画はやり直しになる。 情報伝達が困難 伝達しなければならないのは運転士、車掌、駅員など多数に上るが、その路線を担当している指令員の数は限られているため、電話や列車無線を使って情報を伝達する業務は煩雑なものとなり、現場が必要としている情報が指令員からなかなか伝達されないことが起きる。 これらの問題に対して、現在様々な対処が進められている。情報収集の問題に対しては、要所にビデオカメラを設置して指令所から駅員や乗務員を煩わせることなく現場の様子を確認できるようにするといった対策がある。情報伝達の問題に対しては、情報機器の発達を利用して、各人の所持する携帯情報端末や運転台に搭載のモニタ装置に必要な指示を一斉に伝送できるようにし、かつ駅員や乗務員が必要とする情報に随時アクセスできるようにするといった方策が考えられている。 情報伝達に関しては、2004年4月にNTTドコモが当時実施していたDoPaを利用して、指令員が作成した指令情報を乗務員に配信するシステムが中央・総武緩行線で稼動していた(2012年3月31日のDoPa廃止に伴い終了)。また2007年8月から山手線においてデジタル列車無線を利用して、運行管理システムに入力された指令内容を直接運転台に表示し、それを乗務員が承認することで実行に移す「通告伝達システム」が稼動しており、2011年までに首都圏各線に導入された。
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