進化と波及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:00 UTC 版)
全日本プロレスにスティーブ・ウイリアムスが参戦し、「殺人バックドロップ」と呼ばれる相手を後頭部から急な角度で落とすバックドロップを用いるようになると、三沢らはそれに対応する形で受け身の技術を進化させ、四天王プロレスで用いられる技はますます高度なものとなっていった。四天王プロレスは他のプロレス団体にも影響を及ぼし、プロレス界全体で技の過激化が進んだ。小佐野景浩によると、プロレスラーはこのようなスタイルのプロレスが肉体に与えるダメージを認識しながらも、「そこまでやらなければお客さんが納得しない」という理由で過激化の流れを止めることができなかった。四天王プロレス以降、それまで地味な技しか行われなかった前座の試合でも大技がみられるようになった。こうした現象について、「四天王プロレスの誕生によって"大技の連発、頭から落とすプロレスが主流になってしまった"」と批判する者もいる。これについてザ・グレート・カブキは、「受け身を完全に自分のものにした上で、お互いに相手の攻めと受け身の技術を信頼しているからこそ成り立った」四天王プロレスと、四天王プロレスより後の、相手の受け身の技術を考慮に入れない「自分がカッコよく思われればいいなあ」という自己満足からくる危険なプロレスとは全く違うと述べている。渕正信も、四天王プロレスとは互いの技術に対する信頼感と「不透明な試合は絶対にやらない」というファンからの信頼を基底とする、「一つの技を大切にして、観客の喜びとか昂揚感とか様々な感情を呼び起こすプロレス」であって、四天王プロレスを構成する要素の一つに過ぎない「頭から落とす大技」の一言で片づけられるのは心外だと述べている。
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