進化と神経基盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:39 UTC 版)
現在の進化モデルでは、人間の利他主義は、集団間の対立の中で集団が選択的に(文化的または生物学的に)絶滅することによって進化したとされている。しかし、グループ間の利他主義や規範の証拠もある。いくつかのモデルでは、「フリーライダー」(協力しない人)の第三者罰が、協力的な形質に対する個人の選択による集団協力の増加につながることを示唆している。 被験者を他のプレイヤーと第二者信頼ゲームをしているときに脳をPETスキャンで調べたところ、罰を与えたときに、背側線条体という目標に向かった行動の結果としての報酬の処理に関連する脳の領域が活性化されることが示された。また、背側線条体の活性化が強い人は、規範違反者を罰するために、より大きなコストをかけることを厭わないことが示された。このことは、規範違反者に罰を与えた人は、その行為から満足感を得ていたことを示唆している。 また、第三者罰の検討にFMRIが利用されている。被験者は脳のスキャン中に第三者独裁ゲームに第二の当事者として、あるいは第三の当事者、観察者として参加した。報酬に関連する脳領域である側坐核は、第二者罰と第三者罰の両方の条件で罰に関連した活性化を示した。全体的な活性化のパターンは2つの条件の間で一貫していたが、第二当事者の受容者では活性化がより強くなっていた。このことは、第二者罰と第三者罰の決定には共通の神経基盤があることを示唆している。
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