週刊誌報道・名誉毀損訴訟
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「福岡一家4人殺害事件」の記事における「週刊誌報道・名誉毀損訴訟」の解説
事件当初には週刊誌で被害者家族及び親族の私生活を中傷する報道がなされ、中傷された関係者がマスメディア数社に対し名誉毀損の民事訴訟を起こした。 『フライデー』(講談社)は2003年10月10日号で「福岡一家惨殺事件“殺人チャート”と“黒幕の名前”」と題する記事にて被害者男性Aの義兄(妻Bの実兄)らを匿名で挙げ「司直の手が迫っている」などと報じた。これに対しAの義兄が「犯人という印象を植え付けられた」として民事訴訟を起こしたところ、2005年7月27日に東京地方裁判所(長秀行裁判長)は「極めて不十分な取材で安易に記事を作成して犯人という印象を与えており重い過失がある」として被告・講談社に対し「原告・Aの義兄に対し損害賠償880万円を支払うこと」「判決の結論の広告を同誌に掲載すること」を命じる判決を言い渡した。しかし被告・講談社側が控訴したところ、東京高等裁判所(宮崎公男裁判長)は2005年11月30日に控訴審判決公判で「原告は記事掲載前に別の週刊誌などでも取り上げられ、既に社会的評価が低下していた」として第一審判決を破棄し、660万円の賠償を命じる判決を言い渡したほか、広告掲載命令については「金銭賠償で損害は相当程度回復される」として取り消した。 『週刊新潮』(新潮社)は2003年7月10日号の「『福岡一家惨殺事件』乱れ飛ぶ『極秘捜査情報』の真贋」と題した記事にて「男性Aの親族がAと金銭トラブルを抱え、マスコミから張り込み取材を受けている」などと報じた。同記事に対しAの義兄夫妻が「犯人扱いされて名誉を傷つけられた」として新潮社などに対し計5,500万円の損害賠償を求め提訴したところ、2005年8月29日に東京地裁(土肥章大裁判長)は「原告が捜査当局から嫌疑を掛けられていた証拠はなく、被告の取材でも真実と信じる相当な理由がない」として被告・新潮社などに対し、原告・Aの義兄夫妻に計330万円の賠償を支払うことを命じる判決を言い渡した。2006年2月28日に東京高裁(西田美昭裁判長)は第一審判決を変更して賠償額を770万円に増額した。2006年8月30日付で最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)が新潮社側の上告を棄却する決定を出したため、770万円の賠償を命じた控訴審判決が確定した。 『週刊文春』(文藝春秋)は2003年7月 - 10月にかけ計6回にわたって掲載された記事にて「Aの義兄がAと金銭トラブルを抱え、中国人グループに殺害を依頼していた」かのように報じた。同期時に対しAの義兄夫妻が「犯人扱いされて名誉を傷つけられた」として文藝春秋などに対し1億1,000万円の損害賠償を求め提訴したところ、2006年9月28日に東京地裁(金子順一裁判長)は「原告らが事件の真犯人であるかのように記載した木はいずれも真実とは認められず、取材も不十分だった」として被告・文藝春秋側に対し原告・Aの義兄夫妻への1,100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。原告・被告の双方が判決を不服として控訴したが、2007年8月6日に東京高裁(一宮なほみ裁判長)は「取材は不十分で、記事の内容を真実と信じる相当な理由があるとは言えない」と述べて第一審判決を支持し、双方の控訴を棄却する判決を言い渡した。
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