連合・進歩・民主主義とは? わかりやすく解説

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連合・進歩・民主主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/16 01:13 UTC 版)

 スペインの政党
連合・進歩・民主主義

Unión, Progreso y Democracia
(UPyD)
報道官 アンドレス・ヘルツォークスペイン語版
創立 2007年9月26日
本部所在地 マドリード
政治的思想 進歩主義
社会自由主義[1]
自由主義
中央集権[1]
ナショナリズム
君主主義
愛国主義
社会改良主義
政治的立場 中道政治[1]
公式カラー マゼンタ
自治州議会
1 / 1,268
自治体議会
128 / 67,611
欧州議会
4 / 54
公式サイト
www.upyd.es

連合・進歩・民主主義スペイン語: Unión, Progreso y Democracia[2]、略称:UPDUPyD)は、2007年に結成されたスペイン進歩主義社会自由主義政党。結党後初めて行われた2008年3月8日の総選挙では、全国で303,246票(得票率1.2%)を獲得、党の共同設立者で元スペイン社会労働党所属のロサ・ディエスのみがスペイン下院議員に当選した[3]

元々バスク州の反ETAを標榜する市民団体にルーツを持つが、現在では全国規模で支持を呼び掛けている。哲学者フェルナンド・サバテールの他、同じく哲学者のカルロス・マルティネス・ゴリアランや小説家のアルバロ・ポンボらが結党の際、発起人を務めた。

2008年末までに、9000名以上が入党したと発表[4]

起源

アルバロ・ポンボ(左)フェルナンド・サバテール(右)(連合・進歩・民主主義の集会にて)

2007年5月17日、二大国政政党(国民党及び社会労働党)への対抗を目的に、新党設立の必要性と可能性を議論すべく、45名がサン・セバスティアンに参集。

この集会では出席者の殆どがバスク人で、かつその多くが労働組合や市民団体で長らく活動してきた左派リベラル系であった。集会の後、広範な社会的政治的プロジェクトを創出すべく、その第一歩として政治組織を旗揚げし、国政レベルでの新党立ち上げを求める、民主主義的な政治的志向を持つ国民を幅広く組織することとした。

なお、当初掲げていた目的は以下の通りである。

政治組織立ち上げの後、断続的に参加者があったが、最終的には同年9月29日にマドリードカサ・デ・カンポで開かれた集会にて、新党である連合・進歩・民主主義が発足した。

イデオロギー

党集会でのロサ・ディエス

上述の通り、前身の政治組織には左派・リベラル系が多数参加していたものの、党自身は左右両派の何れにも与しない立場を採っている。具体的には、既存のイデオロギーによるレッテルを超えた「進歩主義」を標榜している。なお、結党当初のマニフェストの前文では、党の性格について次のように規定している。

我々はまず、革命的な前提から入ることにする。つまり、市民は左右両派の何れの状態で生まれた訳でも無ければ、おしめをして党員証を持っている訳でも無いということである。臆病者に不快感を与える覚悟を犯してもっと言えば、市民が自分達自身のために考え、その結果、政党の政策なり歴史的状況の認識なりに合わせて選択することができると考えているのである。それ故、既に既成政党に失望しているのならば、何人も同じやり方で投票させられたり、既存の政治的選択肢に従う必要は無い。批判者に楯突くために身のない議論を吹っ掛ける人々には本当に残念だが、左右何れかに規定することが我々にとって大きな問題ではない。(中略)この誤った二項対立を回避すべく、左右に代えて進歩主義を宣言しようではないか

スペイン国内には各種地域主義・民族主義運動が多く知られているが、党は如何なるナショナリズムにも反対しており、ヨーロッパ域内では最も地方分権的な[5]自治州こそ、個人の諸権利が最早保証されないよう、国家権力を弱体化させてきたとしている。そのため、各地域に対する国家の特権的地位の回復を求めている一方で、同時に欧州レベルのナショナリズムとも対立。国民国家なるシステムが最早説得力を持ち得ない中、単なる諸国家による国際機関としてではなく、市民権に基づく欧州連邦の創設を目指す。

また、左右両派の概念・思想を包含する「横断線主義」を掲げた、社会自由主義的な包括政党としての色合いも強い。

具体的には、次のような案件を主として提起している。

  1. 1978年のスペイン憲法のうち、以下の3点を中心に改正する
    1. 自治州のあり方を抜本的に見直し、国家と自治州両方の機能なり責任なりを明確にした上で、こうした機能を自治州や自治体に委ねないことをはっきりとさせる。憲法に特定の独立した自治体の「歴史的諸権利」の削除を追加
    2. 権利や義務を個別に改善・強化し、これらを領土的、言語的、イデオロギー的、宗教的に不平等が無きよう、全国民に対して平等に定義
    3.  権力分立を改善し、立法行政を尊重しつつも司法の権限を強化。全国の司法制度の結束を固め、法廷の独立性を保証し、立法府に対する依存を排除
結党大会の模様
  1.  世俗主義の強化
  2. 選挙法を改正し、選挙区や議席の配分を再考。現行の制度では一方は二大国政政党に、他方は民族主義政党に有利となっている(2008年の総選挙が50のセウタメリージャによる県単位の選挙区ではなく、全国区のみで行われていれば、ユニオン、進捗と民主主義は4議席を獲得していた[6]
  3. 世俗主義並びに科学的方法を振興させるなど、公教育の質を向上。国内であればどこでも、スペイン語で学べるよう法律で保証し、これを公用語として普及させる。ただし、複数の言語が並存する場合は、これを保護し利用する
  4.  非拘束名簿式の他、首相や自治州首相、自治体首長の各選挙に直接選挙を導入するなど、民主主義の刷新を図る。また、選挙結果を歪める連立政権を防ぐのみならず、党財政の透明化を進め、政財界の癒着を断ち切る
  5. 対テロ対策を強化、具体的にはETAの排除を強調。当該団体による暴力活動との対決はもとより資金提供をシャットアウト、政治的イデオロギー的正当化を阻止
  6. 経済的社会的対策を講じ、格差を是正
  7.  移民に関しては、宗教的原理主義に道を開き兼ねない文化相対主義ではなく、国家がその出自を問わず、何人にも共通の世俗的かつ市民的価値を広げる役割を有する。外交問題では、欧州連合の強化を支持

選挙

連合・進歩・民主主義から出馬した候補者

結党直後に行われた2008年の総選挙で、スポークスパーソンを務めるロサ・ディエスが初当選を果たす。ディエスはマドリード選挙区スペイン語版から出馬し、得票率は3.74%であった。他の候補者には作家のアルバロ・ポンボやカルロス・マルティネス・ゴリアランがいるが、両名とも議席の獲得は成らなかった。

2009年には、欧州議会議員選挙(フランシスコ・ソーサ・ワグネル)及びバスク州議会選挙スペイン語版アラバ県選出のゴルカ・マネイロ・ラバイェン)で議席を獲得。なお、欧州議会では無所属グループに属する。

2011年、ルイス・デ・ベラスコ・ラミスペイン語版他7名がマドリード州議会選挙スペイン語版で当選を果たし、議会第4党となった。また、同年の地方議会選挙スペイン語版ではマドリード以外にも、ブルゴスアビラグラナーダアリカンテそしてムルシアの各都市で議席を獲得。そして、総選挙では4番目に得票率の多い1,140,242票を獲得、5議席に躍進した。

選挙結果

※議席を獲得した選挙のみを記す

選挙
得票数
[7]
%
議席
筆頭候補者
備考
2008 総選挙[8] 306,079 1.19 1 ロサ・ディエス マドリード選挙区(es[9]:132,095票(3.74%)、1議席
2009 欧州議会議員選挙[10] 451,866 2.85 1 フランシスコ・ソーサ・ワグネル
2011 地方自治体選挙スペイン語版[11] 464,824 2.06 152
2011 総選挙[12] 1,143,225 4.70 5 ロサ・ディエス マドリード選挙区[13]:347,354票(10.30%)、4議席、
バレンシア選挙区(es[14]:84,394票(5.93%)、1議席
2014 欧州議会議員選挙[15] 1,015,994 6.50 4 フランシスコ・ソーサ・ワグネル
2015 地方自治体選挙スペイン語版 232,917 1.04 129

なお、2009年の欧州議会議員選挙では、32の県都で3番目に多い得票数を記録[16]

選挙
得票数
%
議席
筆頭候補者
2009 バスク州議会選挙スペイン語版[17] 22,233 2.15 1 ゴルカ・マネイロ・ラバイェン
2011 マドリード州議会選挙スペイン語版[18] 189,055 6.32 8 ルイス・デ・ベラスコ・ラミ
2012 アストゥリアス州議会選挙スペイン語版[19] 18,739 3.75 1 イグナシオ・プレンデス
2012 バスク州議会選挙スペイン語版[20] 21,539 1.94 1 ゴルカ・マネイロ・ラバイェン

脚注

  1. ^ a b c UPyD. Ideology: centralism, social liberalism. Political Position: Centre - European Social Survey
  2. ^ Art.1.- Denominación. Título Preliminar. Estatutos de UPyD”. Upyd.es. 2015年9月27日閲覧。
  3. ^ 2008 Cortes Generales Election Results.  Ministerio del Interior. 10 March 2008.  Last Retrieved 10 April 2008. (Spanish)
  4. ^ Conferencia Foro Nueva Economía”. Upyd.es. 2010年6月18日閲覧。
  5. ^ CNN.com – Catalonians vote for more autonomy – Jun 18, 2006”. CNN  . 2010年6月18日閲覧。
  6. ^ Noticias de España en ELPAÍS.com”. Elpais.com. 2010年6月18日閲覧。
  7. ^ 欧州議会を除き全選挙区での得票数の合計。
  8. ^ Consulta de Resultados Electorales、Congreso / Marzo 2008、Total nacional” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  9. ^ Consulta de Resultados Electorales、Congreso / Marzo 2008、Prov. Madrid” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  10. ^ Consulta de Resultados Electorales、Parlamento europeo / Junio 2009” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  11. ^ Consulta de Resultados Electorales、Municipales / Mayo 2011、Total nacional” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  12. ^ Consulta de Resultados Electorales、Congreso / Noviembre 2011、Total nacional” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  13. ^ Consulta de Resultados Electorales、Congreso / Noviembre 2011、C.A. Comunidad de Madrid” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  14. ^ Consulta de Resultados Electorales、Congreso / Noviembre 2011、C.A. Comunitat Valenciana / Prov. Valencia / València” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de Interior, Subsecretaría Dirección General de Política Interior. 2012年8月18日閲覧。
  15. ^ Resultados provisionales 2014、Elecciones europeas 25 mayo 2014” (スペイン語). Gobierno de España, Ministerio de InteriorResultados provisionales 2014. 2014年5月30日閲覧。
  16. ^ UPyD destaca que es la tercera fuerza política en 32 capitales de provincia”. RTVE.es. 2010年6月18日閲覧。
  17. ^ Eusko Jaurlaritza - Gobierno Vasco, Departamento de Interior. “Resultados electorales:PARLAMENTO VASCO 2009” (スペイン語). euskadi.net. 2012年8月18日閲覧。
  18. ^ Comunidad de Madrid, Vicepresidencia, Consejería de Cultura y Deporte y Portavocía del Gobierno. “Resultados definitivos, Elecciones 2011 Asamblea de Madrid” (スペイン語). 2012年8月18日閲覧。
  19. ^ Gobierno del Principado de Asturias. “Resultados, Elecciones 2012 Principado de Asturias” (スペイン語). 2012年8月18日閲覧。
  20. ^ Datos electorales detallados de las Elecciones Parlamento Vasco 2012 - Generalidad Valenciana

外部リンク


連合・進歩・民主主義 (UPyD)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/13 09:30 UTC 版)

ロサ・ディエス」の記事における「連合・進歩・民主主義 (UPyD)」の解説

2007年ETA暴力反対する草の根市民運動¡バスタ・ジャ!(英語版)(もう十分だ!)を基盤とし、新政党の連合・進歩・民主主義 (UPyD) の設立者のひとりとなった2008年2008年スペイン議会総選挙ではUPyDの選挙名簿筆頭名を連ね、1議席獲得したUPyDからはディエス下院議員となった2011年2011年スペイン議会総選挙で、UPyDは得票率4.7%の約114票を得て、5議席獲得した得票数では国民党(PP)、社会労働党統一左翼中心とした選挙連合ラ・イスキエルダ・プルラル(IP)に次ぐ第4党、議席数では前述の3党とアマユール集中と統一 (CiU) に次ぐ第6党となったディエス下院議員再選果たした2015年5月行われた地方自治体選挙でUPyDは計129議席229,458票)に留まり2011年選挙時の152議席464,824票)から大きく議席数を減らした5月24日にはディエス自身が代表の再選求めていないと発表し7月11日には後任の代表にアンドレス・ヘルツォーク(スペイン語版)が就任した

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