軍隊と経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 11:22 UTC 版)
軍事力を持つということ、つまり軍隊を持ちそれを維持するには、将兵の人件費類に加えて、兵器の開発・調達費、日常訓練の経費、弾薬や燃料の備蓄費用などがかかる。国家が軍事力を維持するには、その経済的基盤が必要となる。 もっとも、経済的視点から見ると、軍隊というのは非生産組織であるため、投資が行われても再生産によって投資金額が回収されることはなく、ひたすら消費するのみである。一般論として言うと、好況時に軍隊・軍事部門に労働力が奪われることは民間部門の経済活動を阻害する場合が多い。ただし、不況時などで民間企業が必要とする以上の労働力がある場合には、過剰な労働人口に対して軍需産業や軍隊で雇用および福利厚生を提供する性質も備えており、彼らによって消費が維持されることによって景気の過度な落ち込みも抑制される効果が期待される。ただし軍事費は通常、国民からの税金によって支払われるためさらに需要を低下させる可能性もある。 様々な経済モデル 軍事費の規模を導くモデルのひとつとして、ルイス・フライ・リチャードソンのモデルがある。これは、𝑥,𝑦をそれぞれ𝑋国と𝑌国の戦力(軍備)、𝑘は脅威係数、𝑎は消耗係数、𝑔は𝑌国への𝑋国の警戒度として、△𝑥=𝑘𝑦−𝑎𝑥+𝑔という式で現す。要するに、𝑋国の軍事費の規模は𝑌国の脅威を𝑋国の武力で相殺した上での𝑌国に対する警戒度を足したものだと考えて表現している。 またフリードマン・モデルにおいては、𝑈は𝑌国の軍備有効度、𝐼は𝑋国の消耗係数、𝑘は𝑋国の脅威係数として、𝑈𝑘=𝐼𝑥²+𝑘(𝑥−𝑦)²で現す。このモデルでは両国の勢力差が2乗されることによって強調されている。
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