【貨物機】(かもつき)
Cargo plane / Freighter
商用目的で物資を輸送するための航空機。
軍隊で兵站輸送用に用いられるものは「輸送機」として貨物機とは区別する。
基本的に旅客機を改装・流用して用いる事が多く、"~F"という型番になる事が多い。
貨物機と旅客機を兼用する機体もあり、そうした機体は"~M"という型番が一般的。
貨物パレット用の大きな扉が必要なため、側面に大きな扉を据え付ける改装を施す事が多い。
最初から貨物機として設計された機体では(B747Fなど)、長尺貨物を積むために機体を上部または横方向に折り曲げる場合もある。
旅客機を兼用する場合は、客室の後部を潰して貨物室に改装する事が多い。
旅客機ベースの場合は側面に窓があるが、純粋な貨物機にコックピット以外の窓はない。
長距離貿易の運送手段としては、現在もっとも早く輸送できる手法である。
しかし、空港でなければ貨物の積卸ができないため、短距離輸送では全く何の役にも立たない。
また、輸送に必要なコストが非常に高価であり、効率面では船舶に劣る。
このため、主に生鮮食品・生物・郵便物など、極めて緊急性の高い貨物の輸送に用いられる。
また、電子部品や芸術品など重量単価が非常に高い物資の輸送にも用いられる場合がある。
関連:輸送機 B747F A380F 航空郵便
貨物機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 04:44 UTC 版)
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人や貨物の輸送を主用途とする航空機を軍用・民間用ともに輸送機という。民間用輸送機は、旅客の輸送を目的とする旅客機と、貨物の輸送を目的とする貨物機に区分される[1]。軍用機については輸送機を参照。
英語では「freighter」[2]「airlifter」「cargo aircraft」などと称される。貨物機を運行して航空貨物輸送業務を行う企業を貨物航空会社という。
概要


初期の貨物機は、専用の設計で作られたものは少なく、郵便輸送など貨物便として用いられた機体はあったものの、旅客・貨物の双方の輸送が行えるものが主流であった。
貨物機が発達したのは、第二次世界大戦後のことである。これは、航空輸送が活発となって航空機が大型となったことと、民間分野においても航空機による大型貨物や大量の物資の輸送に対する需要が出てきたことに加え、旅客機は整備されたキャビンを持つようになってきたこともあり、貨物を運ぶにあたっては、機内を専用設計としたほうが有利であったことによる。
現代の貨物機は旅客機を改設計し、機内を改装したものが多い。機種にもよるが、外見的にはキャビン窓や非常用脱出口がない代わりに荷物積み降ろし用の大型のカーゴドアを持つといった程度の違いしかない。構造的には、重い荷物に対応するためメインデッキの床が強化され、またペイロードを増やすために主翼付け根部分(翼胴接合部)の強化およびそれに伴う着陸重量の増加に見合う降着装置の強化などが行われる。軍用輸送機では、積み下ろしの利便性から高翼配置が主流となっているが、民間貨物機では旅客機ベースの設計のため低翼配置が主流となっている。
また、ボーイング747 の一部や A300-600ST ベルーガなどのように機首部分がチルトアップする「ノーズドア」を持つものや、カナディアCL-44、ボーイング747-LCF などに見られる胴体後部が横方向に折れて開く「スイングテール」を持つものが存在する。
貨物機は旅客機より多くのペイロード[3]を積載するため、
という理由(相乗効果)により、一般に旅客機よりも航続距離が短い。このため、例えば極東 - 欧州路線では、現在ほとんどの旅客機が体制崩壊後のロシア上空を経由して 13 - 14 時間のフライトを実現しているが、貨物機ではこの距離をノンストップで飛行することが難しい(最新型機747-8F では一部可能となった)。したがって現在でも極東 - 欧州路線の貨物機はアンカレッジで給油を行う旧来のルートが健在である。
旅客機のメインデッキに大型のドアを追加して貨物機としても利用できようにした貨客混載機は『コンビ機』などと呼ばれ、旅客や貨物専用機では採算の取れにくい地方路線などで使用されている。
旅客機のロワーデッキにユニット・ロード・デバイスを積んで輸送する混載(コンビネーションキャリア)も行われている[4]。
貨物機は復路が空荷となる可能性が多いことや、航空輸送の需要が主貨物室に入れる必要がある高さのある貨物(家電、半導体製造装置など)から高さが必要が無い「軽薄短小」の貨物(電子部品など)に移行したことで、貨物機の保有を辞めコンビネーションキャリアのみとした航空会社もある[4]。
貨物機の一覧
- ボーイング 747-200F/-400F/-400ERF/-8F
- 超大型機では唯一、旅客型と貨物型(ノーズカーゴドアを有する純貨物型のみ。旅客型からの改修は除く)共に100機以上の受注を獲得している型式である。
- ボーイング 747LCF ドリームリフター
- 787のパーツを運ぶために、747-400Fを大きく改造・改修した、大型の特殊貨物機。
- ボーイング 757-200PF
- ボーイング 767-300F
- ボーイング 777F
- マクドネル・ダグラス MD-11F
マクドネル・ダグラス MD-11F - エアロスペースラインズ プレグナントグッピー
- エアロスペースラインズ スーパーグッピー
- エアバス A310-200F
- エアバス A380-800F[5]
- エアバス A300-600ST ベルーガ
エアバス ベルーガ - エアバス A330-743L ベルーガ XL
- ベルーガの後継機
- ツポレフ Tu-134
- ツポレフ Tu-154
- イリューシン Il-76
- イリューシン Il-86
- イリューシン Il-96
- アントノフ An-2
- アントノフ An-3
- アントノフ An-12
- アントノフ An-26
- アントノフ An-28
- アントノフ An-32
- アントノフ An-38
- アントノフ An-72 チェブラーシュカ
- アントノフ An-74 チェブラーシュカ
- アントノフ An-124 ルスラーン
- 量産された機体としては世界最大。
- アントノフ An-140
- アントノフ An-225 ムリーヤ
世界最大の貨物機(アントノフ An-225) - 世界最大の貨物機。複数のギネス記録を持つ。
脚注
- ^ 平凡社 世界大百科事典 第2版の区分による
- ^ 頭文字"F"から、民間貨物機は型式の末尾に"F"を付けて表される傾向がある
- ^ ボーイング747貨物型で貨物重量100トン以上、これは旅客機における乗客、手荷物、機内食や飲料 / 便所の水などの合算重量の2倍を超える。
- ^ a b “貨物機はすべて処分しているのに…JALが貨物特需で2000億円を稼ぎ出せた「床下の秘密」 ANAとは正反対の「ローリスク・ハイリターン」”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2022年9月21日). 2022年9月22日閲覧。
- ^ 旅客型の開発・納入の遅延による影響で2007年3月に航空会社からの発注を全て失い、現在は開発が中断され、実機は製造されていないが航空会社からの発注は受け付けている。しかしながら2019年2月14日にエアバス社が2021年をもって基本型であるA380-800型機の生産終了を発表したことにより、計画で終わる見込みである。
関連項目
貨物機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 16:19 UTC 版)
ボーイング747-200F型機 旅客転用改造の-146SFとともに本家JAL機材(当初はLを省略したJA CARGO塗装が存在した)を機材限定した形で運航したが、JAA終了間際の2000年代には共通機無関係で本家JALカーゴ塗装が台湾区間に投入された。注目はやはり1992年に無塗装(アメリカン航空で存在したシルバーメタリック仕様)となったJA8180もJAA便で登板し、台北蔣介石国際空港に初飛来したときには注目を集めた。JAA終了後には正式にJALカーゴ便で飛来するようになった。 ダグラスDC-8-55F型機
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