財政赤字の内訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 22:32 UTC 版)
バブル崩壊後、国民経済計算ベースで国と地方の赤字が拡大した要因を、収入と支出に分けると次のようになる。以下の検討から、90年代は、直接税の減少を主因に収入が低調に推移する一方、支出が増加傾向をたどっている結果、財政赤字が大幅に拡大していることが確認できる。 まず、収入面では、景気の動向に敏感な法人税などの直接税がGDP比で大きく減少している。こうした直接税の減少は、バブル崩壊による個人所得と法人所得(企業収益)の低迷に加え、94年秋の税制改革による所得税の恒久減税や、98年度に2回実施された特別減税、99年度以降実施されている所得税、法人税の恒久的減税などを反映したものである。なお、直接税は、国、地方とも減少しているが、国の直接税の減少の方が大きい。また、地方では、国からの地方交付税などの移転収入が、バブル時よりも増加している(第3-1-2図)。このような国と地方の状況に違いが生じるのは、国の収入が税収中心であり、長期的な景気低迷や減税の影響を大きく受けるのに対し、地方の収入は、地方交付税や補助金といった形で安定的に国から収入を得るウェイトが高いためである。 一方、支出面では、国の公共投資が、バブル崩壊後の度重なる経済対策実施を受け増加した後、最近でも高い水準が維持されているのに対し、地方の公共投資は、90年代半ば以降は、地方単独事業(国の補助金がつかず、地方公共団体の独自財源で実施する公共事業)を中心に抑制され、やや減少している。政府消費については、国、地方とも増加している。移転支出については、国の移転支出が大幅に拡大してきている。国の移転支出が拡大したのは、(1)地方交付税や補助金の地方への支払い、(2)高齢化により増大する社会保障費用(公的年金支払いや医療費)を賄うための社会保障基金への支払い、(3)旧国鉄の長期債務の継承や破綻金融機関の処理等に伴う預金保険機構への資金援助などといった一般政府以外への支払い、が行なわれたことによる。
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