象ブーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 03:03 UTC 版)
上述したように、象は各地でブームを巻き起こし、象にまつわる書籍や瓦版・版画・錦絵・双六などが販売され、象を題材とする置物(土人形)や根付・印籠・刀剣・刀の鍔などの商品がつくられた。また、象をデザインした羽織や帯も売り出されたといわれている。 上述した『象のみつき』の著者、中村平吾(三近子)は京都の人で、この本は三都の書肆で合同出版された。本圀寺塔頭智善院『象志』も三都の書肆から出版され、象の身体を部位ごとに漢籍から引用して解説がなされている。『霊象貢珍記』の著者は白梅園で、この本は京都の安田万助から出版された。白梅園には、このほか『献象来暦』という著作がある。伊藤東涯の高弟、奥田三角が編集した漢詩集『詠象詩』には、今出川公詮らが詠んだ漢詩が収載されている。『馴象編』は大学頭の林信充によって編集され、松会堂という江戸の書肆から出版された。松会堂から出版されたものとしては他に、儒者井上蘭台(林家塾頭)が漢籍から象にかかわる記事を収集した『馴象俗談』、軍談講釈師の神田白龍子による『三獣演談』がある。なお、享保15年刊の『当世影絵姿鏡』には象の影絵のつくり方が紹介されている。 江戸の書物問屋の記録からは、以上のような書籍のほかに「広南霊象図」という1枚刷りの図も販売されていたことが確認されている。象の背に乗った普賢菩薩をモチーフとした絵も売り出された。なお、歌舞伎十八番のなかの演目『象引』との関係を指摘する声もあるが、詳細は不明である。 なお、ベトナムの研究者ファン・ハイ・リンは、こうした象にちなむキャラクター商品の開発や製造・販売は、現代日本のキャラクター文化は近代以前から根付いていたことを示す事象であると指摘している。
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