講習方式について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/12/12 09:10 UTC 版)
「メディックファーストエイド」の記事における「講習方式について」の解説
メディックファーストエイドでは、受講者のストレスを出来る限り抑えるために講習終了後の筆記試験や技能試験を行わない。インストラクター(MFAでは「ファシリテーター(Facilitator、『物事を容易にする人』という意味)」と正式には呼んでいる)も適度に肩の力を抜いて指導を行うように訓練されており、受講者はリラックスした状態で講習を受けることが出来る。 講習プログラムは専門的知識を持たない一般の人にも習得できるように作られており、身近にあるもので出来ることを教え、高度なことや特別な器具が必要なことは要求しない。あくまで、プロフェッショナル(救急隊員など)に患者を受け渡すまでの患者の状態悪化を抑えることが目的とされている。 それに加え、各受講者が出来る限り実際に体を動かして、インストラクターの指導のもとで応急手当法を身につけることが出来るよう、講習は少人数で行われる。MFAでは1人のインストラクターに対し最大12人までの受講者、練習用人形や練習用AEDはそれぞれ最大1つにつき6人までといった具合に、それぞれに上限を設けている。 講習においては、人工呼吸のような人形を用いてでないと訓練を行えないものを除き、実際に人(一緒に講習を受けている人やインストラクターなど)を患者として用い訓練を行う。当然、患者役となり、他の受講者の訓練のために自身の体を提供することもある。(背中や腰に関連した病気を過去にしたことがある、もしくは現在患っているという場合は、申請すれば免除してもらえる。) 他に特筆すべき点として、「救護者自身の保護」が指導内容に強く盛り込まれていることが挙げられる。 講習では実技訓練の際には必ず手袋(医師などが使うようなもの、講習時に配布される)を装着するが、これは実際に救護を行う際に患者の体液などで救護者が患者から何らかの疾患(肝炎など)をもらってしまうことを避けるためである。 また、時には自身が救護を行わない、もしくは救護を放棄し逃げる必要性も説いている。(詳しくは応急処置の項目も参照されたい)前者の例では、川で流されそうになっている人を見つけてもそこに入らないこと、後者では自動車で事故を起こして負傷した人を救護している際に、他の自動車が突っ込んできそうになった場合が例に当てはまる。 このどちらにも言えるのは「二次災害の防止」であり、誰かを助けようとして自分が助けを求める側になってしまい、救助の手を分散させてしまうことを防ぎ、本来救いたい相手に最大限のプロの救助が与えられるようにするものである。 さらにMFAの講習では、意識がある状態で患者が体の不調を訴えている状況への対処、救助活動の際およびその後に生じたストレスに由来する、救助者に起こりうる精神的・身体的症状(いわゆるPTSD)の事例の紹介やそれらへの対処法も扱っている。
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