論文概要
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原論文は英語である。日本語では『銀の弾丸はない』と、翻訳されることもある。ブルックスは、「銀の弾丸」(Silver Bullet)として、魔法のように、すぐに役に立ちプログラマの生産性を倍増させるような技術や実践 (特効薬) は、今後10年間(論文が著された1986年の時点から10年の間)は現れないだろう、と記載した。 銀の弾とは、銀で作られた弾丸であり、西洋の信仰において狼人間、悪魔を撃退する際に用いるものとされていた。 ブルックスの警句は、非常に多く引用されており、生産性、品質、制御に適用されている。ブルックスは、自身の警句で述べているプログラマの生産性の限界は「本質的な複雑性」(essential complexity)についてのみ当てはまると述べているのであり、「偶有的な複雑性」(accidental complexity)に対する挑戦については支持している。ブルックスは、偶有的な複雑性については著しい改善(おそらく今後10年間で10倍以上)がみられるだろうと述べている。 ブルックスは、この論文で本質的な複雑性に対処するために、次のことを提案している(詳細は#提案を参照) 購入できるものをあえて構築しないようにするために大市場を利用する。 ソフトウェア要件の確立に際し、開発循環計画の一部として、迅速なプロトタイピングを使用する。 実行と使用とテストが行われるにつれて、より多くの機能をシステムに追加しながら、ソフトウェアを有機的(系統的)に成長させる。 若い世代の素晴らしいコンセプトデザイナーを発掘し、育てる。 (ブルックス、滝沢、牧野、宮澤、2002年、第16章、P.166) 『銀の弾などない』は、1986年のIFIPでの論文である。1987年に IEEE Computer Society の「コンピュータ」誌に再録された。また、この論文とこの論文に対するブルックス自身の省察『「銀の弾などない」再発射』(No Silver Bullet - Refired)の2つの論文は、ブルックスの著書『人月の神話』(The Mythical Man-Month)の20周年記念増訂版に収められている。 『銀の弾などない』が収録された「コンピュータ」誌の表紙と、『人月の神話』の20周年記念増訂版の第16章「銀の弾などない」の扉には、狼人間を描いた絵が掲載されている。
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