誤射事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 03:09 UTC 版)
「ロンドン同時爆破事件」の記事における「誤射事件」の解説
イギリス国内の警察もテロ警戒に対し過剰反応し、2005年7月23日に警察官が地下鉄車内でブラジル人男性を射殺する事件が発生した。警察は当初、「地下鉄駅構内で男性が不審な動きをしていたため呼び止めたところ、走って改札を飛び越え、地下鉄へ逃げるように飛び乗った。追いかけて確保しようとしたところ、抵抗した為に(自爆するのではと)危険を感じて発砲した」という旨の発表をした。 しかし、この男性はただの配管工で、爆弾などは持っておらず、テロリストとは全く関係なかったことが判明し、ロンドン警視庁は世界中から非難され、イギリス政府が遺族やブラジル政府に対し謝罪するに至った。それどころか、駅構内の監視カメラでは、男性は警官に呼び止められず、改札は普通に通り抜けた上、横のフリーペーパーまで手にとっている。地下鉄にも若干小走りに乗り込んだ程度で、逃げるようには見えなかったという証言もある。また、「警官(私服だったという)は数人で座席に腰掛けていた男性を取り囲み、至近距離から何発もの銃弾を撃ち込んだ。」と証言され、誤認どころか行き過ぎであったことが明らかとなり、警視庁の説明がでたらめであったことが後に判明した。 誤射した警官らは逮捕されたが、イギリスのマスコミは11月27日、男性を射殺した警官2人が不起訴になる見通しであり、ロンドン警視庁や政府高官が確認したと報道した。12月9日に独立調査委員会のハードウィック委員長は、事件の報告書を検察当局に送付することになるだろうと述べ、関与した警察官が刑事訴追される可能性のあることを明らかにした。検察当局が報告を受けて、起訴するかどうかを判断する。 2006年7月23日、殺害から1年が経過し、ストックウェル駅前で追悼集会が開かれた。 イギリス検察庁は、2006年7月17日、ロンドン警視庁の組織としての責任を問うとしながらも、射殺した警官やブレア警視総監の訴追を退けた。遺族や支援者は、検察庁の判断を非難し、ブレア警視総監を含む責任者の処罰、事件の真相究明、ロンドン・テロ事件後警察が採用したテロ容疑者即時殺害方針の撤回などを求めている。
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