語末の e
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 14:28 UTC 版)
「サイレントe」も参照 英語の歴史は、高低アクセント言語から強勢アクセント言語への移行の歴史でもあった。そうした変化が進むにつれ、たとえば語根に2音節をもつ語の場合、第一音節に強勢が置かれるとともに第二音節は次第に弱化し、ə のようなあいまい母音を経て、最終的には完全に無音化されるに至っている。 以下に典型的な一例を挙げる。なお、音声表記は厳密なものではない。 「時間」 : 古英語 tima [*ti:ma] > 中期英語 tyme [*ti:mə] > 現代英語 time [taim] このように語末の e は当初 [ə] を表す音標であったが、現在では黙字となっている。 また、上記の例のごとく、こうしたケースでは直前の音節が長母音(現在では二重母音)に発音される例が多かったことから、語末の e は「直前の母音を長母音(現在の二重母音)として発音する目印」としても認識されるようになり、やがて、元来母音のなかった場所にもその用途のために添えられるようになった。 以下に古い語彙からの例を示す。 「ワイン」 : 古英語 win [*wi:n] > 中期英語 wyn [*wi:n] > 現代英語 wine [wain] こうした「発音しない語末の e」は、現在では、古英語由来の語彙に限らず、さまざまな出自の語彙に非常に頻繁に見られるものとなっている。
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