診断の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 08:18 UTC 版)
「オットー・カーンバーグ」の記事における「診断の詳細」の解説
精神療法上の関係においては、転移によって自己と対象の表象が活性化される。治療の途上において、投影や同一化が働き、すなわち、価値の引き下げられた自己表象がセラピストに投影され、また一方で患者は危機的な対象表象を同一視する。これらのプロセスは普通怒りや恐怖といった情動体験とつながっている。転移によって活性化されるだろう自己-対象による表象の例を以下に述べた。 自己 - 対象 コントロールされ怒る子供 - コントロールする親 望まれぬ放任された子 - 自己陶酔的な親 障害のある子供 - 軽蔑する親 嫌がらせの犠牲者 - サディスティックな攻撃者 剥奪された子供 - 自己中心的な親 性的に興奮する子 - 去勢する親 扶養され満足する子 - 溺愛し賞賛する親 転移から浮かび上がってくる情報は、2つの理由により、その人の内的世界への直接的な接近手段を供給する。第一の理由は、共有する現実に対する矛盾した知覚をすぐに議論の俎上に載せることが出来ることから、それがセラピストと患者双方により同時に観察されうること。第2の理由は、共有している現実に対する知覚は情動を伴うのに対して、歴史的題材に関する議論は知的質を持ち得てはしも、だからこそあまり参考にならないこと。 分裂した自己表象の解釈的統合 TFPは精神療法セッションにおける解釈の役割を強調する。自他の表象の分裂が治療を通し演じきられるので、セラピストは、断片化した自他の感覚による継続的分裂を下支えしている原因(恐怖や不安)を患者が理解するのを手助けする。この理解には治療上の関係内での強い情動経験を伴う。この理解と情動経験の結合は、分裂した表象の統合や、患者のアイデンティティーと他者の経験が統合された感覚の創出を導く。それ故、精神構造の統合はBPO症状の低減をもたらしうる。
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