記述においてさほど重要でない面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 10:05 UTC 版)
「有効数字」の記事における「記述においてさほど重要でない面」の解説
計量学や統計学の専門家でない人は、有効数字の有用性を過剰に考えすぎであって、高校や大学の化学テキストでは研究室での実状に比べて過剰に受け止められている。応用分野の科学者は、不確かさを表現するのに一般的に 1.234±0.055 または同じ意味で 1.234 (55) という表現を用いる。ポイントは、公称値 (1.234) と、不確かさ (0.055) を別個の数値として表現しているところにある。これら2つのことを正確に分離して表現するのは、公称値と不確かさを有効数字のルールに頼って1つの数字に盛り込もうとするよりも繊細な取り扱い方である。 この記事の冒頭に述べたように、有効数字というのは丸めの一種として受け止められており、最終的な答えを丸めたものが、不確かさに比べて支配的であってこそ意味がある。不確定さに比べて丸めた結果が支配的にならない場合には、これは重大な問題となる。とはいえ、測量学のように実験的な研究においては、丸め誤差が支配的になるのはよほどひどい実験方法であるから、それを避けて丸め誤差を減らすのは容易である。それでもなお丸め誤差が支配的であったとしても、それを示すために 1.24(½) または同じ意味で 1.24(⁄) と明示するのがよい。 有効数字というのは有効数字の計算規則(英語版)での根本をなす手法なのであるが、記事「有効数字の計算規則」その他で議論されるように、有効数字のルールだけを用いて不確かさを表現する確固たる手法は一般には存在しない。 コンピュータ科学や数値解析においては、保護桁(英語版) (guard digits) を用いるのが良い手である。つまり、何段階かに分けて計算をする際に、N 桁の有効数字に毎回丸めるのではなく、もう1桁かもう少し多く桁を残して丸めて次の計算に移るのである。これは有効数字とは相容れない概念ではあるが、丸め誤差を毎回積み重ねてしまう危険は減らせる。計算途中の有効桁数をM 桁とした場合、M-N 保護桁と表現する。詳細はActonの記述を参照。 科学者が不確定な量をいかに正確に表そうとするかの良い例が、NISTの抄録に見られるような物理定数である。これらは、有効数字のルールに頼らず、公称値と不確かさを分離して記している。 不確かさをいかに適切に表現するかという手順や、これらの手順を用いる論拠については、参考文献を参照してほしい。
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