記念館廃止問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 05:27 UTC 版)
「十和田市立新渡戸記念館」の記事における「記念館廃止問題」の解説
2015年2月、十和田市が耐震強度不足を理由に廃館・取り壊しの方針を示し、同年6月26日記念館を廃止した。これに対し、新渡戸家と住民団体が「耐震性に問題はない」として耐震診断の再調査と記念館廃止条例の取り消しを求め、新渡戸家が青森地方裁判所に提訴した。2017年1月、青森地裁(田中一彦裁判長)判決では訴えを却下したが、仙台高等裁判所(小川浩裁判長)では一審判決を取り消し、審理を差し戻した。 市側は上告せず、青森地裁での差し戻し審理が行われたが、2018年11月同地裁(飯畑勝之裁判長)は「耐震性能に問題があり、取り壊すほかなく、市の財政状況などを踏まえれば、廃止の判断はやむを得ない」などとして請求を棄却した。原告はこの判決を不服とし、2018年11月仙台高裁へ「耐震診断の鑑定」を求めて上訴したが、2019年5月第2回弁論において同高裁(上田哲裁判長)は、「耐震診断の鑑定をせず判決を出す方針」を示して弁論を終結すると同時に、双方に和解を勧告した。勧告を受け、新渡戸家と十和田市は6月18日に電話会議を行ったが、新渡戸家側が示した和解案を市側はすべて拒否したため不調に終わった。2019年7月10日に控訴審判決が仙台高裁から出され、上田哲裁判長は青森地裁判決を支持し原告側の控訴を棄却した。 新渡戸家側は最高裁に上告したが、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は2019年12月3日付けで上告を棄却したため、廃止を妥当とした一、二審判決が確定した。十和田市側は新渡戸家側に対し建物の明け渡しを求める方針を示し1964年に交わされた契約により、土地は建物を解体・整地後に新渡戸家に速やかに返還するとした。2020年1月20日新渡戸家側は市を相手に建物のコンクリート強度試験の実施や収蔵資料の保存展示継続のための協議を求める民事調停を十和田簡易裁判所に申し立てた。調停は4月20日に行われる予定だったが、4月9日十和田市内で新型コロナウイルス感染症の発生が確認され、日程は5月13日以降に延期となった。
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