言語学から見た連用形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 15:37 UTC 版)
語形変化のある語において変化しない部分は語幹と呼ばれ、それに付属することで文法的機能を担い、語形に変化をもたらすものを語尾と呼ぶ。形態論により日本語の語形を音素レベルまで分解して考えると、動詞は子音語幹動詞と母音語幹動詞に分けられる。子音語幹動詞は四段動詞、ラ変動詞、ナ変動詞のことをいい、ローマ字分析すると変化しない語幹部分は子音で終わっている。一方、母音語幹動詞は一段動詞、二段動詞である。ただし、現代口語においては母音交替は起こらず語幹は一定であるが、文語においては語幹母音は母音交替を起こして2通りの語形をもっている。尚、いわゆるサ変動詞、カ変動詞は不規則な変化をする不規則動詞である。 このように見る時、連用形に現れる -i- や -u- の音は、子音語幹が子音で始まる語尾や用言に結合する際に子音の連続を避けるためつなぎとして挿入されたものに由来している。例えば「食べます」は tabe-mas-u のように直接語幹につくが、「書きます」は kak-i-mas-u のようにiが生じている。また四段動詞におけるウ音便、促音便、撥音便は、つなぎの -i- が挿入されないことによって生じている。例えば「立って」は tat-te である。 また形容詞と形容動詞は文語においてカリ活用やナリ活用と言われる活用をもつが、これは語幹と語尾との間に-ar-(あり)が入るものをいっている。「あり」は単体では存在を表す語であるが、語尾として使われると指定、措定の文法機能を果たしている。よってその活用は子音語幹動詞「あり」と同じく「~かり~」や「~かった」となる。
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