言語学において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 07:10 UTC 版)
語の変化しない部分を語幹といい、語幹につくことで文法的機能を表すものを語尾という。学校文法では「く」や「し(い)」「から」などの部分のみ語尾と呼ぶが、現代の言語学の視点ではいわゆる助動詞や助詞(動詞に接続するもの)も語尾である。いわゆる助動詞は語尾のうち、派生語幹を作ってさらに語尾をとるものであり、助詞は句や文の終わりで使われる語尾である。 学校文法における動詞の活用形は、語根(究極的な語幹)に直についた語尾による語形変化のみを記述しているが、形容詞の場合は派生語幹による語形変化を主とする。「高き(taka-k-i)」「高く(taka-k-u)」「高からず(taka-k-arazu)」のように「く」「き」「から」といったように活用形を決めているのであるが、これらの変化していない語幹部分を見ると、kまでであり、k幹に語尾がついた形を分類している。一方、終止形の「高し(taka-si)」や合成語の「高み(taka-mi)」「高光る(taka-bikar-u)」のような語形をみると、語幹はtakaまでであることが分かり、この部分までが形容詞の語根である。 形容詞が文法的意味を表すために語尾をとる場合、「高からず (taka-k-ar-a-zu)」「高かるべし (taka-k-ar-u-be-si)」「高ければ (taka-k-er-eba)」のようにほとんどkと語尾との間に-ar/(er)(あり)を挟む。-ar(あり)は単独では存在を表す語であるが、ここでは名詞句と形容詞を結ぶ指定・措定の機能を果たしているからである。これは英語において形容詞がbe動詞によって結ばれているのと同じ理屈であり、主として活用するのが形容詞ではなくbe動詞であるように、日本語においても活用するのは-ar(あり)の方である。形容詞自身が活用するのは修飾語としての連用形・連体形と、現在・肯定の述語用法である終止形だけであり、動詞と同じ6活用形でまとめてはあっても、そのあり方は大きく異なるのである。
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