言葉の由来と歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 20:48 UTC 版)
「童貞」という言葉は元来カトリックの修道女を意味しており、1874年に設立された横浜雙葉学園の前身としての「仏語童貞学校」や、花村萬月の小説『ゲルマニウムの夜』などにそうした意味での使用例が見られる。また、現在は『処女懐胎』と題されるアンドレ・ブルトンとポール・エリュアールが著した「L'immaculée conception」は、1936年発刊時は『童貞女受胎』とされるなど、聖母マリアを指す言葉としても用いられた。英語における Virgin、Chaste の訳語として用いられたのは「貞潔」「廉潔」「童身」といった言葉であった。 1920年代に入ると童貞という言葉は宗教的な意味合いが薄まり、単純な「異性と未経験の状態」を意味する使用法が見られるようになる。1925年版の『広辞林』では「婦人又は男子が幼児の純潔を保持し、未だ異性と交遊せざること」と定義しており、男女の区別がなされておらず、また、人への用法ではなく、人が所持する所有物的な意味合いで用いられていた。1929年の浅田一の『童貞論』でも童貞状態にある人を指す場合は「童貞保持者」と呼称されている。ただし、『言泉』(1921年)や澤田順次郎の論文「処女と童貞」(1927年)などのように、人を指す用法も少なからず存在している。 童貞が人を指す用法としても一般化するのは1950年代以降で、また、主として男子を指す言葉として確立するようになる。1958年版の『広辞林』、1955年版の『広辞苑』などに「主として男性についていう」との言葉が追加された。こうした定義から明確に男子のみを指すようになるのは1970年代以降になってからのことである。なお、『広辞苑』や『岩波国語辞典』などでは、現代でも「主として男性」との言葉があり、男女双方を指す用語として定義されている。
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