製造の基礎事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 21:16 UTC 版)
ばねの製造工程は種類によって様々である。以下では金属ばねに関する製造について大まかに説明する。 金属ばねの場合、棒状や板状の材料から所定のばね形状への成形は主に塑性加工によって行われる。材料に曲げや圧延を行い、望みの形状に加工する。金属ばねの塑性加工は大きく分けて、冷間成形と熱間成形に分かれる。前述のとおり、冷間成形とは材料が常温の状態でばねの形へ加工することで、比較的小型のばねに対して行う。熱間成形とは材料を高温に熱した状態でばねの形へ加工することで、比較的大型のばねに対して行う。 金属ばねの場合、成形後には熱処理が施される。鋼材の熱間成形ばね(重ね板ばね、竹の子ばね、コイルばねなど)であれば成形後直ちに急冷して焼入れ、そして焼戻しを行う。焼入れ焼戻しによって、硬く粘り強い材質にすることができる。鋼材冷間成形ばね(薄板ばね、コイルばね、皿ばねなど)の成形後に熱処理する場合は、焼入れ焼戻しあるいは残留応力を除去するために低温焼なましを行う。非鉄金属材料の場合は時効処理が施され、同じく強度を高める。 熱処理後には多くの場合、ショットピーニングを行う。ショットピーニングは無数の硬質粒子をばね表面に高速でぶつける処理で、ばね表面に圧縮の残留応力を与えて疲労強度を向上させる。ショットピーニングあるいは熱処理後には、設計上の最大荷重よりも大きな荷重を加える、「プレセッチング」あるいは「セッチング」と呼ばれる工程を多くの場合で行う。セッチングを行うことでへたりに対する耐性を向上させることができる。熱間成形コイルばねなどでは、焼戻しと同時に高温状態でセッチングを行う「ホットセッチング」を行う場合もある。ホットセッチングによって耐へたり性を大きくすることができる。最終工程では、必要に応じてメッキや塗装などで表面処理を行う。 プラスチックばねの場合、ばねに使用されるプラスチックはほとんど熱可塑性樹脂なので、射出成形で成形される。溶融された材料が金型に圧入されて、冷却・固化されて造られる。ゴムばねの一つである防振ゴムの場合は、原料の配合と練りを行い、ゴムを金具へ加硫接着させて製造する。
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