装飾書法の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 02:56 UTC 版)
書道作品も他のイスラーム的芸術品とともに展示されることが多いが、これは書道が諸芸術とも共通する芸術的着想をもつためである。また書道の実践は哲学的思惟・議論の対象でもあった。装飾的な書道作品は、華美・複雑であり、文字としてほとんど読めないほどとなるが、装飾書法が芸術段階にまで発展した理由の一つには偶像崇拝忌避に起因する具象的芸術への宗教的規制を挙げることが出来る。 初期イスラームでは、クルアーンの伝承は大部分、ハーフィズとよばれる暗誦者(内容すべてを暗記した人々)の記憶によるものであった。このような伝承の方法は信頼性を欠くものであり、また多くのハーフィズが陣中に時ならず斃れていった結果、断片に代えて、一冊の書物としての編集が決定された。 クルアーンは神すなわちアッラーの言葉であり、ムスリムにとって本質的に神聖なものである。このため、本としてのクルアーンの制作においては、その品質・可読性が重視される。またイスラーム教には絵画表現に対する禁忌があるため、キリスト教世界のような絵画の挿入は不可能であった。これらの要因から、装飾書法はイスラーム世界で非常に重要なものとなったのである。今日にいたるまで書道は主要芸術体系の一つで、書家は非常に尊敬される職業である。クルアーンの教義を考慮した書道芸術における美学性もまた、イスラームのもつ統合性の一つの側面を表すものである。
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