被疑者Mを逮捕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 05:37 UTC 版)
被害者Aは生前、近隣住民に対し「出所したMが訪ねてきて怖い。別れた元妻 (X) の所在をしつこく聞くなどしている」と話していたほか、近隣住民は捜査本部の聞き込みに対し「被害者Aの親類の男(後にMと判明)が事件2,3日前からA宅付近をうろついていたのを見た」と証言した。また御船署捜査本部が事件現場周辺を鑑識した結果、数個の指紋が発見され、義母殺しで37年間服役して1年前(1984年)に出所したばかりだった親類の男Mと一致した。そのため捜査本部は事件当夜までに男Mを被疑者と断定し、殺人容疑で逮捕状を発行して行方を追った。 一方で被疑者Mは犯行後に玉名市内へ逃走し、事件翌日(7月25日)昼には飲食店で知り合った同市内の女性(後述のタクシー運転手とは知人関係)と飲み歩き、1985年7月27日夜には玉名市内のホテルに2人で宿泊した。そして7月28日にはホテルを出て、女性から誘われて荒尾競馬場(荒尾市)へ出掛け、市内を営業拠点にしていた「産交ポニータクシー」(本社:同県天草市)のタクシーで競馬場に向かった。しかしMがタクシー料金(3,290円)を払うために1万円を出したところ、運転手が釣り銭を持っていなかったことから3人で近くの寿司屋に行って寿司を食べたが、運転手はその際に初めて男の顔を見て「(強盗殺人容疑で指名手配されている)Mに似ている」と気付いた。食事を終えた運転手は男と連れの女性からタクシー代を受け取って帰社したが、その直後(12時40分ごろ)に「手配書に載っていた男 (M) とよく似た男を、客として玉名市内のホテルから荒尾競馬場まで乗せた」と県警玉名警察署に110番通報した。これを受けて熊本県警は捜査本部や玉名署・荒尾警察署などから召集された捜査員70人を競馬場付近に配備し警戒に当たらせていたところ、13時10分ごろに荒尾署員が競馬場入口付近で女性を連れた男を発見して職務質問した。これに対し男(=M)は自分の名前を名乗り、犯行への関与を認めたため、そのまま荒尾署員に強盗殺人容疑(指名手配容疑)で逮捕された。また、同日には凶器とみられる刺身包丁が事件現場から西北約200 m離れた農業用水路で発見された。 捜査本部は逮捕後も凶器の発見・Mの犯行動機追及に全力を挙げ、被疑者Mを強盗殺人・住居侵入・銃刀法違反の各容疑で熊本地方検察庁へ送検した。送検後、被疑者Mは検事による取り調べに対し「自分は無期懲役囚で仮釈放中の身だから『今度逮捕されたらいつ刑務所から出られるかわからないから、いっそのこと恨んでいる者たちを皆殺しにしよう』と思い犯行に及んだ。A・B両被害者を殺害したことについてはまったく反省していないし、むしろ『2人を殺したくらいではまだ足りない』というのが正直な気持ちだ」と述べている。
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