蔓牛とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 06:00 UTC 版)
蔓牛とは、他の牛に比べて高値で取引される、特有の資質を具備した系統牛である。 また、蔓牛と謳われるものには通有的美点がある。その通有的基礎条項として、以下3点を明示する。 体質強健で、悪癖なく、性質(性格)が穏やかであること 繁殖力が旺盛で、雌は連産すること 長命系、連産系に属すること 上記のような蔓牛が造成され始めたのは江戸後期である。当時、度重なる飢饉により幕府の財政はひっ迫していた。金銀の品位や重さを変える「改鋳(かいちゅう)」もあり、貨幣の信用は失墜、対して物価の暴騰を招いた。幕府は「改革」として、引き続き商業を厚遇し、税率や補助金なども改善した。牛に対する課税も無かったとされる。それらは農民が牛を生産増頭し、取引きする後押しとなった。 「蔓」牛とは、経済が不安定な時代を生き抜くための、まさに「金づる・手づる」であり、金融資産的な側面も担っていたのである。 一方、植物の「蔓」になぞられたこの血統のようなものを遺伝学的に考察するならば、一貫した選択淘汰を行い、近親交配による優良形質遺伝の強化を図った新種であると言える。少なくとも、特定の優良形質に関与する複雑な遺伝因子が、相当程度にホモ接合されたものであると考えられる。しかしながら、始祖以降の交配を吟味することなく繰り返せば、岩倉蔓(広島県)や周助蔓(兵庫県)のように、複数具わった優良形質のホモ接合を斑に解消させていき、やがては、必要な表現型を欠失する結果を招く。即ち、蔓牛としての価値を損なうことを意味する。一般に蔓牛を、始祖から3、4世代までと見る向きもあったのは証左に他ならない。従って、蔓を維持・発達させるには、飼養者の不断の努力と、交配に関する高い知識が必要とされる。
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