著作物の利用権の共有
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:19 UTC 版)
「コピーレフト」の記事における「著作物の利用権の共有」の解説
インセンティヴ論に基づく著作権制度という議論はあるものの、著作物を不特定多数の者が利用できるようにすることは、著作物をより発展させるための有用な手段となる場合がある。これは典型的な商業ソフトウェアが制作・流布される際に、複製や内的構造の研究(リバースエンジニアリング)や改変が禁じられているために、既存のソフトウェアを改良して新しいより優れたソフトウェアを開発する可能性が閉ざされている、という点を考えると分かりやすい。あるいは、インターネットを支える基礎的な技術はソフトウェアを共有し改良し合うことで発展してきたということを考えても良い。 一般に、芸術作品や評論、解説文、コンピュータプログラムなどを含む著作物は、その作者が著作権を持っている。そのため、作者の許可を得なければ改変したり、(個人的なバックアップを除いて)複製したり、配布・販売することはできない。しかし、このような制度の枠組みは、作品を共有して多人数で共同的な創造活動を行う際にはかえって妨げとなる場合がある。 そのためにまず最初に行われたのは、明示的に著作権を放棄したり(パブリックドメイン)、放棄はしないが「誰でも自由に使って良い」と宣言したり、という形で共有する方法であった。 ところが、本当に誰でも自由に使えることにしてしまうと、共有・発展という作者の意図に反するような利用が行われることもある。パブリックドメインの状態にある著作物を改変した場合、二次的著作物はパブリックドメインになるわけではなく、改変者に著作権が帰属することになるためである。 このような問題をストールマンが経験した際に、コピーレフトという発想が生まれた。シンボリックス社から、ストールマンが作成したLISPインタプリタを使いたいと打診された際、ストールマンは彼の作品のパブリックドメイン版を提供した。シンボリックス社はそのプログラムを拡張して更に強力なものにした。そして、彼のもともとのプログラムに対して拡張した部分を見せてくれるよう求めた時に、シンボリックス社はそれを拒否した。これは法的にはどうすることもできなかった。
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