自転車道の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 16:26 UTC 版)
都市交通の中での自転車専用の通行空間とされる自転車道の延長は、2004年現在、1199kmに過ぎず、歩道延長15万5786kmの100分の1にも満たない。自転車道の設置に際しては、自動車交通から自転車を分離し、混合交通による自動車の速度低下を防ぐことも意識されてきた。半面、設置・管理が高コストであり、自転車道の存在自体が自動車交通の処理能力の低下を招くとも考えられた。車道の幅員確保や歩道の設置・拡幅(幅員2メートル以上の歩道では、普通自転車を歩道に上げることも可能とされる)が優先され、自転車道の設置は進まなかった。 また自転車道は車道の付帯施設と認識されたため、独自の連続したネットワークを形成していないという問題も指摘されている。 自転車の歩道通行については、双方向通行が認められていることと、車道との間の分離施設によって、自転車が右左折する自動車からの死角に入り、自動車対自転車の交通事故を誘発する危険性が指摘されている。自転車道は事故防止を図ることを目的として導入されたものの、歩行者と構造的に分離されていることを除いて歩道との共通点が多いことから、自転車道にも同じ問題が存在するとの見解がある[要出典]。ただし、現実に整備された自転車道の事故リスクについては日本国内では研究が見当たらない。カナダとオランダの研究では、自転車道が最も安全な自転車インフラであるとの結果が出ている。 歩行者と自転車の分離という面では、自転車道の整備は大きな成果を上げている。東京都三鷹市のかえで通りでは、自転車道の整備前に80.9%だった自転車の歩道通行率が整備後は6.1%に激減した。東京都江東区亀戸の国道14号でも、自転車道の整備前に71.0%だった歩道通行率が整備後は25%に低下した。一方、車道端をペイントによって視覚的に区分した自転車レーンなどでは、路上駐車に塞がれる、横を通る車が怖いなどの問題から、自転車の歩道通行率はあまり下がらない傾向がある。東京都渋谷区の旧玉川水道道路では、自転車レーンの整備前に84%だった歩道通行率は整備後も68%までしか低下していない。京都府京都市の河原町通と丸太町通では、車道の端に矢羽根型路面表示を試験整備したが、整備前に74.7〜92.4%だった歩道通行率は整備後も73.7〜88.9%と高止まりしている。この京都市の実験では住民アンケートで「横を車が通り過ぎると怖い」「駐車中の車の横を走るのがこわい」などの意見が寄せられている。
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