自然界の4つの力
素粒子の研究から、この世界(宇宙)には以下のような4種類の力(相互作用)が存在することが明らかになりました。
中性子の自然崩壊(ベータ崩壊)を引き起こす力。この弱い力の作用で、中性子は短時間で陽子に変わる。作用をおよぼす距離は10cmの1/1億のさらに1/1億。
電気を帯びた粒子にはたらく力。原子核と電子を結びつける力。作用をおよぼす距離は無限大。
クォークを結びつける力。中性子や陽子として、あるいは原子核として安定させる力としてはたらく。作用をおよぼす距離は10cmの1/1億分のさらに1/10万。
上の4つの相互作用が、宇宙にはたらいている力のすべてで、これを「自然界の4つの力」と呼びます。
電磁気力と弱い力を統一した「電弱統一理論」
物理学の研究者は、これらの4つの力はもともと(宇宙の誕生のとき)は、1つだったのではないかと考えました。それを証明するには、4つの作用を同じ原理で説明することができればいいわけです。1967年、アメリカのスティーブン・ワインバーグ(1932~)とパキスタンのアブダス・サラム(1929~)が、電磁気力と弱い力を統一できるとした「電弱統一理論」(ワインバーグ=サラム理論)を完成させました。これが統一理論と呼ばれ、その後研究者たちは、さらに強い力を加えた「大統一理論」の確立に挑戦しています。
4つの力の大統一をめざす「超ひも理論」
一方、まったく新しい発想で4つの力を大統一しようとする研究もおこなわれています。ハンガリー出身のジョン・シャワルツらの研究による「超ひも理論」(スーパーストリング理論)です。この理論では、物質の最小構成要素は素粒子ではなく、振動する短いひもであるとしています。ひもといっても、その長さは10の-35乗cm、これは1メートルを3回、1/1兆にした長さ(短さ?)で、いわば究極の最小物質です。この理論では宇宙は10次元時空をもち、われわれが目にする3次元と時間の1次元以外の次元は、超ひもの中に閉じこめられているとされます。非常にユニークですが、この理論で説明すれば、4つの力も統合され、ビッグバンやブラックホールの特異点(とくいてん)のような現象も矛盾なく解決できるとして、注目を集めています。
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