自動車による中継放送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 05:38 UTC 版)
中継車 「中継車」も参照 中継車は、副調整室の機能を集約して搭載した自動車である。特にラジオ中継車は、音声中継車、音声車などとも呼ばれる(演奏所の副調整室と同等の調整機能を有したもののみを音声車と呼ぶ場合が多い)。一般的に中型自動車、大型自動車をベースとする。 1台だけでなく、複数台での運用を行う場合がある。大規模な番組素材制作が必要な場合には、1か所で中継車を複数連結して用いたり、中継車を複数箇所に分散して配置する。電源を確保するための電源車、衛星回線利用のための「SNG車」、不足分の機材を運ぶ機材車などを、番組素材制作の規模に応じて加え、組み合わせる。 なお最近では携帯電話回線の進歩と、機材の小型・軽量化により、簡易な番組素材制作の場合には、中継車を用いない場合もあるようになっている。 SNG車 「SNG車」は、テレビ中継の際、衛星回線が必要な場合に備え、可搬型地球局の本体をまとめて搭載した、衛星回線専用の中継車である。 報道番組用などの簡易な番組素材制作の場合にはSNG車だけで事足り、テレビ中継車を使わない場合が多い(近年、機材は大きめの旅行鞄に収まる程度まで小型化されている)。通常規模の番組素材制作の場合には、テレビ中継車+SNG車という2台態勢となる。従来規模のテレビ中継車に可搬型地球局本体を併せて搭載した「SNG中継車」もあり、この場合かなりの規模の番組素材制作を1台の自動車のみで対応できる。 ラジオカー 「ラジオカー」も参照 ラジオ番組はテレビ番組よりも、より速報性が求められるようになってきていることや、素材が音声のみであり、比較的簡易な設備で足りる場合が多いことから、多様な現場状況に対して、臨機応変に細かく即応できるように、必要最小限度の、異なるタイプの番組素材制作用機材をいくつも搭載した、ラジオ中継車の小型・簡易版である、いわゆるラジオカーによる場合が多くなっている。 小回りが利く普通自動車をベースとして用いたものが多く、中継回線の選択性が高いのが特長である。現場の音声を加工して、自営無線回線を使った音声送信機もしくは一般の有線電話回線、または携帯電話回線などを臨機応変に用いて、演奏所に番組素材として送る。 なお最近では携帯電話回線の進歩により、簡易な番組素材制作の場合には、ラジオカーすら用いない場合もあるようになっている。 ヘリコプターの利用 「ヘリコプターテレビ中継システム」も参照 駅伝およびマラソンの放送や、事件・事故・災害現場からの報道などの場合、ヘリコプターに最低限の必要な機材を積み込んで、副調整室の機能の一部あるいは電波中継所として使う場合がある。 陸地の移動中継車からの伝送を受け、映像や音声を調整して、受信基地にそれらを送る役割を担う場合、「ヘリスター」と呼ぶ。受信基地には、ヘリコプターからの番組素材を安定して受けるため、GPSなどを用いた自動追尾装置が備えられている。 速報性を要求される性質から、特にテレビ放送局の報道部の多くが各自でヘリコプターを契約している。
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