自動車による牽引飛行試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/10 17:02 UTC 版)
「M2-F1」の記事における「自動車による牽引飛行試験」の解説
M2-F1の最初の飛行テストは現在のエドワーズ空軍基地で行われたが、まず機体を自動車で牽引して凧のように引き上げることで飛行特性を調べることになった。牽引車両はポンティアック・コンバーチブル(Pontiac Convertible、en:Pontiac Catalina参照)を改造したものであった。 1963年4月5日の牽引試験において機速が138km/hに達した際、テストパイロットのミルト・トンプソン(en:Milton Orville Thompson)は初めての機首上げを行った。しかし、後部降着装置を支点に機体が前後にバウンドして制御不能に陥り、機首を地面に擦り付けた状態でやっと停止した。その後何度か同様の試みが行われたがやはり操縦不能に陥ってしまった。このため離陸の際に機体が仰向けに転倒する危険性があり、パイロットのトンプソンは降着装置に何らかの問題があるのではないかとも疑った。 しかしこの後にテストの様子を撮影した映像を確認したところ、操縦不能はラダーの不如意な動きによって引き起こされていたことがわかった。ラダー等の動翼を司る第二操縦システムをより安全と考えられた第一操縦システムに取り替えたところ、二度と同じ問題が起こることはなかった。また、牽引に使用された車両は機体を地面から引き離せるほど強力ではなかったことも判明した。これを解決するため、ビル・ストラーブ(Bill Straub)は牽引車両のエンジン強化を行ってホットロッド車両へと改造し、さらにロールバーの付加と右フロントシートを後方に向ける改修を行った。牽引速度は176km/hまで上がり、機体を地上7mまで浮上させることに成功した。この際に牽引索の解放を行い、約20秒間の滑空を行うことができた。自動車の牽引で期待される成果はここまでであったが、これらの初期テストで得られた実験記録によって研究は前進し、C-47での曳航飛行が行われることになる。
※この「自動車による牽引飛行試験」の解説は、「M2-F1」の解説の一部です。
「自動車による牽引飛行試験」を含む「M2-F1」の記事については、「M2-F1」の概要を参照ください。
- 自動車による牽引飛行試験のページへのリンク