胴体・歯・前部付属肢はお互いに別生物由来(1910~1970年代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 02:49 UTC 版)
「ラガニア」の記事における「胴体・歯・前部付属肢はお互いに別生物由来(1910~1970年代)」の解説
Walcott 1911a による「ペイトイア」と「ラガニア」の模式標本 USNM 57555。後者は先端に「ペイトイア」が付属したことが分かる。 本種と同じくバージェス頁岩から発見されたシドネイア。本種の前部付属肢は最初ではこの動物に由来と考えられた。 本種の胴体と歯は同時に Walcott 1911a に記載されていたが、当時は歯が単離した化石標本を基に記載され、唯一に知られる胴体の化石標本 USNM 57555 はそれと同型の歯をもつことも解明されなかった。歯の部分は根口クラゲ目(Rhizostomeae)のクラゲの1種「ペイトイア・ナトルスティ」(Peytoia nathorsti)、胴体の部分はクロナマコ科(Holothuriidae)のナマコの1種「ラガニア・カンブリア」(Laggania cambria)と、それぞれ無関係の動物種として命名された。同年、前部付属肢も単離した状態で Walcott 1911b に記載され、フルディアや未命名種 cf. Peytoia の前部付属肢と共に、シドネイアという同じ生息地の動物に由来の付属肢と解釈された。 Conway Morris 1978 は「ラガニア」の模式標本 USNM 57555 に対して再検討を行い、その先端に「ペイトイア」があると判明した。しかし胴体と歯の部分は依然として別生物扱いされ、USNM 57555 全体は「カイメンの1種(おそらく既存種の Corralio undulata、胴体の部分)とそれに付属したクラゲ(歯の部分)」という2つの動物をまとめた化石と解釈された。これによると、USNM 57555 の「ペイトイア」以外の部分は既存種の可能性があり、「Laggania cambria」という学名が指せるのは USNM 57555 の「ペイトイア」の部分だけである。すなわち「Laggania cambria」と「Peytoia nathorsti」はシノニム(同物異名)であり、どちらかをジュニアシノニム(無効の異名)にする必要もある。その中で、Peytoia nathorsti は形態が明確で多くの化石標本を基に記載され、有効の学名にしては(形態が不確実な1つの化石標本のみに基づいた)Laggania cambria よりも適切であると判断された。動物命名法国際審議会の条約を基に、Conway Morris 1978 は第一校訂者として Laggania cambria を Peytoia nathorsti' のジュニアシノニムにした。 Briggs 1979 では、前述の前部付属肢は再検討がなされ、シドネイアとは全く別の、正体不明の節足動物由来の付属肢と見直された。
※この「胴体・歯・前部付属肢はお互いに別生物由来(1910~1970年代)」の解説は、「ラガニア」の解説の一部です。
「胴体・歯・前部付属肢はお互いに別生物由来(1910~1970年代)」を含む「ラガニア」の記事については、「ラガニア」の概要を参照ください。
- 胴体歯前部付属肢はお互いに別生物由来のページへのリンク