背斜に関する用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/18 03:04 UTC 版)
山状の褶曲構造は、どのようなものであれアンチフォームと呼ばれる。中心から離れるにつれて次第に新しい地層になっているようなアンチフォームが背斜である。 アンチフォームあるいは背斜には、褶曲の頂点になっている地層上の最高地点である背斜冠 (crest) がある。背斜頂 (apex, hinge) は、褶曲におけるある地層において曲率が最大になっている地点である。背斜軸 (axis) は、背斜においてある地層における背斜頂を2次元断面的に結んだものである。異なる地層の背斜頂を3次元的に結んだ面のことを背斜軸面 (axial plane, axial surface) と呼ぶ。対称的な背斜では、背斜軸面の地表面との交線は背斜冠と一致する。非対称的な背斜では、背斜軸面の地表面との交線は背斜冠から褶曲のよりきつい面の側にずれる。転倒背斜 (overturned anticline) は非対称な背斜で、一方の背斜翼が垂直を超えて傾いて地層の層序が上下逆転しているようなものである。 すべての方向に沈み込んで円形や楕円形上になっている構造をドーム(英語版)と呼ぶ。ドームは1回の地殻変動によって形成されるか、岩塩や頁岩などの構造的に柔軟な物質が下部のマグマの貫入、上部への動きによるダイヤピル(英語版)によって形成される。有名なリシャット構造は、背斜あるいはドームが風化によって露出したものであると考えられている。 両端が沈み込んでいる背斜はdoubly plunging anticlineと呼ばれ、複数回の地殻変動や2つの褶曲の重ね合わせ、あるいは下部のデタッチメント断層の幾何構造の関係やそのデタッチメント断層表面に沿った移動量の差によって形成された可能性がある。こうした地質構造において最高地点となっている場所を極隆部 (culmination) と呼ぶ。 堆積物が溜まることで発達した細長いドームは、ペリクライン (pericline) と呼ばれる。 複背斜 (anticlinorium) は地域的な規模での背斜で連続した背斜状の褶曲があるものである。例としてはジュラ紀末から白亜紀初期にかけてのパーセル複背斜(ブリティッシュコロンビア州)や、アパラチア山脈のバージニア州・メリーランド州北部にあるブルーリッジ複背斜、ペンシルベニア州中央部にあるニッタニーバレー(英語版)などがある。
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