職業上の安全のおよび〜
ILOが第187号条約として2006年に採択した本条約の目的は、すべての働く人々の健康と安全の向上のために安全健康予防文化の確立を推進することである。そのために職場における健康および安全リスク評価活動を推進し見つかったリスクを発生源において低減する。また政府は労働者、経営者代表と協力して5年程度の中期的な国家労働安全衛生計画を策定し実施する。自国における労働安全衛生の現状を分析して優先行動課題を決定し明確な到達目標を設定しなければならない。同時に国家労働安全衛生計画はその国の社会経済開発計画等とリンクしながら責任ある機関によって承認され広く国民に周知される。
我が国は本条約の採択過程において重要な役割を果たし2007年には世界で最初にこの条約を批准した。アジア諸国では本条約を参照しながら自国の働く人々の健康と安全対策を促進している。タイ、中国、モンゴル、シンガポール、ベトナム、ラオス、インドネシアが国家労働安全衛生計画を策定公表しその実施を進めている。各国はそれぞれの国家計画の枠組みの中で、労働安全衛生法規の強化と効果的な実施、中小零細企業、家内労働および農業への労働安全衛生サービスの拡大、鉱山や建設業等の安全健康リスクの高い職場の対策強化、増加する外国人労働者の労働安全衛生保護拡大等の重要課題に取り組んでいる。
(川上 剛)
参考資料:川上剛、小木和孝、氏田由可;アジア5カ国における国家労働安全衛生プログラムの比較‐ILO技術協力の経験から‐労働科学2007:83:54−58
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