線型方程式系の解空間とは? わかりやすく解説

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線型方程式系の解空間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:23 UTC 版)

線型方程式系」の記事における「線型方程式系の解空間」の解説

V と W を有限次元ベクトル空間とし、変数ベクトル x は V の中を動くものとし、W の元 b と係数行列 A によって定まる線型方程式系 A x = b {\displaystyle A\mathbf {x} =\mathbf {b} } を考える。また、行列 A の定め線型写像fA: V → W と記すことにすると、この線型方程式系を解くという問題は、一点集合 {b} の fA による逆像 fA−1(b) の状態(ここで fA−1 は一般に写像はならず逆対応の意味である)を記述する問題であると捉えることができる。 本項目は線型方程式有限系を考察対象とするため、V と W は有限次元であると仮定するが、基本的に以下の議論ベクトル空間 V と W が無限次元であってもほとんどの場合は、適当な読み替えのもとに成立する一般場合線型方程式の項を参照されたい。 方程式系が斉次形 (b = 0) ならば、この方程式は常に零ベクトル x = 0 を解に持つ。これを斉次方程式自明な解とよぶ。また斉次形ならば方程式の解重ね合わせが可能である。つまり、 x と y が斉次線型方程式系の解であるとき、任意のスカラー α と β に対して、 αx + βy も同じ方程式系の解となる。したがって斉次方程式系の解全体集合 fA−1(0) は V の線型部分空間をなし、方程式系の解ベクトル空間あるいは省略して解空間呼ばれる斉次方程式解空間 fA−1(0) は fA の(あるいは A の)呼ばれるもので、斉次方程式系の解空間部分空間をなすという事実は ker ⁡ A = ker ⁡ f A := { x ∈ V ∣ A x = 0 } {\displaystyle \ker A=\ker f_{A}:=\{\mathbf {x} \in V\mid A\mathbf {x} =\mathbf {0} \}} が V の部分空間を成すということに同じである。特に、解空間次元fA退化次数 nul fA等しい。このことはさらに、n = nul fA とおくと、方程式一般解が n 個の一次独立な解(基本解) x1, x2, ..., xn と n 個の任意定数パラメータc1, c2, ..., cn によって c 1 x 1 + c 2 x 2 + ⋯ + c n x n {\displaystyle c_{1}\mathbf {x} _{1}+c_{2}\mathbf {x} _{2}+\cdots +c_{n}\mathbf {x} _{n}} の形に表されると言い換えることができる。 方程式系が非斉次 (b ≠ 0) であるとき、b が線型写像 fA の像に含まれていなければ方程式系の解は存在せず、b が A の像に属すならば少なくも一つの解が存在する。さらに線型写像 fA全射ならば、任意の b ∈ W に対して方程式系は解を持つ。列ベクトル a1, a2, ..., ak によって A = (a1, a2, ..., ak) と表すと、b が線型写像 fA の像に含まれるということは、a1, a2, ..., ak線型結合として b が表されるということであり、またこれは階数用いれば行列 A と行列 B = (a1, a2, ..., ak, b) の間に等式 rank A = rank B が成立することと述べることもできる。 非斉次の線型方程式系2つの解 x と y を持つとき、差 x − y は 写像 fA線型性によって A(x − y) = 0 をみたす。したがって、非斉次の線型方程式系二つの解は随伴する斉次方程式系の解を加え分の違いしか持たない。ゆえに非斉次方程式系の解の一つ特殊解)と随伴斉次方程式系の一般解により、非斉次方程式すべての解を記述することができる。つまり、 x0 が A x = b特殊解であるならば、非斉次方程式の解の全体は x 0 + ker ⁡ f A := { x 0 + v ∈ V ∣ A v = 0 } {\displaystyle \mathbf {x} _{0}+\ker f_{A}:=\{\mathbf {x} _{0}+\mathbf {v} \in V\mid A\mathbf {v} =\mathbf {0} \}} で与えられる。これは ker A随伴しアファイン空間であり、やはり方程式系解空間呼ばれる随伴斉次方程式基本解 x1, x2, ..., xn用いれば x 0 + c 1 x 1 + c 2 x 2 + ⋯ + c n x n {\displaystyle \mathbf {x} _{0}+c_{1}\mathbf {x} _{1}+c_{2}\mathbf {x} _{2}+\cdots +c_{n}\mathbf {x} _{n}} の形にすべての解を書くことができる。 線型方程式 A x = b の解が一意であることは、線型写像 fA単射であることを意味し、これは ker A = {0} であることと同値である。する。またこれは、階数退化次数の関係から、fA非退化 (full rank) であるとも言い換えられる。またこのとき、さらに V, W の次元同じならば行列式 |A| はでない。

※この「線型方程式系の解空間」の解説は、「線型方程式系」の解説の一部です。
「線型方程式系の解空間」を含む「線型方程式系」の記事については、「線型方程式系」の概要を参照ください。

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