紫外可視吸収スペクトルとは? わかりやすく解説

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紫外可視近赤外分光法

(紫外可視吸収スペクトル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/27 17:45 UTC 版)

紫外可視近赤外分光法(しがいかしきんせきがいぶんこうほう、UV-Vis-NIR)は、紫外 (UV, UltraViolet)、可視 (Vis, Visible)、および近赤外 (NIR, Near InfraRed) 領域の光吸収を測定する分光法である。通常、200–1,500 nm 程度の波長範囲について測定する。

一般に、この範囲の吸光は、分子内の電子遷移に由来する。遷移過程としては、π-π* 遷移n-π* 遷移、d-d 遷移、金属-配位子間電荷移動 (MLCT)、原子価間電荷移動移動 (IVCT) などがあるが、このような遷移過程を持つ分子は比較的少ない(一方、赤外吸収は分子振動・回転に由来するため、ほとんど全ての分子が示す)。

したがって、本法の対象となる試料は限られたものとなる。しかしながら、測定が容易であること、結果が肉眼での観察と一致しわかりやすいこと、分子によっては極めて特徴的なスペクトルを示すこと(ポルフィリンなど)、スペクトルが物質の状態によって敏感に変化することなどから、特に錯体化学分析化学で頻繁に用いられる測定法である。

装置

光源

可視光領域(340〜1100nm)ではタングステンランプ、紫外光領域(185〜360nm)では重水素ランプが用いられる。

試料室

シングルビーム方式では、試料室に一つの試料だけが設置できる。

ダブルビーム方式では、サンプルの他に対照サンプル用の設置台がある。対照サンプル側で溶媒による吸収や、光源強度の変動を測定することで、その影響を差し引くことができる。

分光器

試料を透過した光をモノクロメーターで分光する。

検出器

光検出器としては光電子倍増管などが用いられる。

紫外可視近赤外分光スペクトル

下図に示すように、ベンゼンナフタレンアントラセンテトラセンペンタセンのそれぞれの吸収スペクトルの例を示す(図の黒線)。

スペクトル左側の灰色地の領域が紫外領域、右側の灰色地の領域が近赤外部である。共役 π 電子系が長くなるにつれ、極大吸収波長 λ が長波長側にシフトしてゆくので、吸収が紫外領域から可視領域へと伸展して行く。

紫外可視近赤外分光法では、分子の光が吸収する度合いを調べる。分子の光が吸収するエネルギーは、電子遷移のエネルギーを持った光以外に振動や回転のエネルギーを持った光も吸収してしまうため、連続スペクトルになる。

測定対象となる試料・測定困難な試料

測定対象となる試料
溶液・薄膜など、ある程度の光を透過するもの
測定困難な試料
不透明なもの(顔料など、透過法では無く反射法で測定を行う)

関連項目



紫外可視吸収スペクトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 08:10 UTC 版)

紫外可視近赤外分光光度計」の記事における「紫外可視吸収スペクトル」の解説

有機化合物紫外可視領域光を当てるとσ、πおよびn軌道にある電子基底状態から高エネルギー状態に遷移する紫外可視光吸収伴って起こる電子遷移にはσ→σ*、n→σ*、n→π*、π→π*の4つ遷移がある。σ→σ*遷移原子価殻電子単結合場合に起こるため、ほとんどの化合物見られる。主に遠紫外領域観測できるが、紫外可視近赤外分光光度計では測定は可能であるが解析きわめて難しい。単結合でかつ非結合電子を持つ場合はn→σ遷移に基づく吸収が起こる。主に遠紫外・近紫外領域吸収を示す。π→π*遷移分子内に不飽和結合がある場合に起こる。主に近紫外領域観測できる不飽和結合で非結合電子を持つ場合はn→π*遷移に基づく吸収が起こる。主に近紫外可視領域観測される。π*軌道への遷移分子内に不飽和結合のある場合にのみ見られるのでσ*軌道遷移比べ吸収現れない場合が多い。しかし、遷移必要なエネルギーが小さいので、一般紫外可視分光光度計測定することができる。

※この「紫外可視吸収スペクトル」の解説は、「紫外可視近赤外分光光度計」の解説の一部です。
「紫外可視吸収スペクトル」を含む「紫外可視近赤外分光光度計」の記事については、「紫外可視近赤外分光光度計」の概要を参照ください。

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